【生徒作品】『白ネコと真っ黒ネズミ』小4・Mさん

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お料理やお菓子作り、家庭菜園をご家族と楽しんでいるMさんは、その経験をいたしたレポート作りや物語作りに取り組んでくれました。昨年度、ブラックユーモア満載なロアルド・ダールさんの作品を読んで書いた読書感想文が『読書探偵コンクール』でみごと優秀賞に輝いています。

Mさんは、同じ学年のKさんと一緒に「ネコとネズミの登場する物語を書こう」というテーマで、物語作りのプロジェクトに取り組みました。今回の『白ネコと真っ黒ネズミ』では、美しい自然の描写と、ユーモアあふれるストーリーが書かれています。

発表会で、堂々と物語を読み上げることができました。

発表会で、堂々と物語を読み上げることができました。

『白ネコと真っ黒ネズミ』
小四・Mさん

静かな春の夜明け頃、白ネコが鼻歌をうたいながら、温かい台所で玉子サンドとグレープフルーツジュースを作っています。

鼻歌が終わりました。どうやら作り終わったようです。しぼりたてのグレープフルーツジュースを、ピンクの水筒にいれました。黄緑色のお弁当箱にサンドイッチをつめて、黄色のナプキンで包み、やなぎの枝であんだバスケットに入れました。

さて、どこに行くのでしょうか?

白ネコは、スキップをしながら山の小道へ入っていきます。

さて、ここからお話しがはじまります。

山頂についた白ネコは、満開の桜の下でお弁当を食べました。ピンク色の花びらが、全部開いています。白猫は、まだ静かなときに、一人で桜を見ながらお弁当を食べるのが楽しみでした。

すると、林のほうから「ガサゴソ」という音が聞こえてきました。

白ネコは、すぐに『たぬきが、また悪さをしようとしているんだな。』と気づきました。

でも、白ネコはたぬきが来ても、ふりむきませんでした。なぜなら、たぬきのいたずらをとめる作戦を、気づかれないように考えていたからです。

そのことを知らないたぬきは、そっと白ネコに近づき、まっ白な背中に真っ黒なペンで「ゴキブリ」や「カナブンの幼虫」の落書きをしようとしました。ペンが背中につく直前、白ネコはパッとふり返りました。そう、たぬきをつかまえるためです。

ところが、白ネコが見たのは、たぬきではありませんでした。なんと、真っ黒なネズミだったのです。たぬきが変身できることを知らなかった白ネコは、キョロキョロと辺りを見渡しました。そのすきに、ネズミは山をおりて町に逃げて行きました。そして、ネコ達の間をすりぬけながら、たくさんの悪さをしました。赤ちゃんのおしゃぶりをとって泣かせたり、買い物かごの中に入って食べ物をいっぱい食べたりして困らせました。

ところが、町のネコたちは、いたずらがネズミの仕業だとわからず、大騒ぎをしています。

赤ちゃんのおしゃぶりをとられたお母さんは、最初はあっけにとられていたけれど、今は、プンプン怒っています。

そんな中、白ネコは町で一匹、山頂で見た真っ黒なネズミを探していました。そして、小さな女の子のネコにたずねてみました。

すると、女の子は、困った顔で、
「目がとんがっていて、毛がボサボサで、くさくてあの意地悪で有名なたぬきみたいなネズミを見たわ。そして、また山の方に逃げていったの。」と、教えてくれました。

それを聞いた白ネコは、ネズミとたぬきが、体が黒くて、つめがするどいことも同じだと気づきました。

『あの真っ黒いネズミの正体は、たぬきで、町の猫たちにいたずらをしたにちがいない』と思いました。

そして、女の子にお礼を言って、もといた山頂にかけて行きました。

しかし、しばらくして白ネコはふと立ち止まりました。

『たぬきは本当に変身する力があるのだろうか。信じられない。でも、もし変身することができたら、またネズミの姿で悪さをするぞ。』

不安に思った白ネコは、また大急ぎで走って行きました。

ところが、あまり急いだからでしょう。白ネコは、坂道の途中で、息が切れて、へたりこんでしまいました。そして、山頂についた頃には、ゼイゼイと息をはきながら、たおれてしまいました。

それを桜の木の上から見ていたたぬきは、「いっひひひひ」と、笑って、ペンをもって白ネコに近づいてきました。

もう逃げられない白ネコは、ありったけの力を振りしぼって、「何で、いつもいじわるをするの。」と、聞きました。

たぬきは、
「えっ、何でって、いわれても……。」
こんなことを聞かれたのは、生まれてはじめてで、驚いて、とまどってしまいました。

そして、白ネコはたぬきに、
「いじめをやめたら、友達になってあげてもいいよ。」と言いました。

そう言われて、たぬきはとても嬉しくなりました。

たぬきは意地っ張りだけれど、本当は白ネコや町のネコたちのことが好きで、友だちになりたかったのです。

「今日、家に来る?」
白ネコが言いました。

たぬきは、はずかしそうに、
「別に、行ってもいいよ」
と答えました。

二匹は、坂道を競争しながら下って行きました。先いついたのはやっぱり白ネコです。今度はたぬきがゼイゼイいいながら遅れて走ってきました。
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白ネコの家についたたぬきは、すぐにお風呂に入りました。白ネコはびっくりしました。なぜなら、お風呂嫌いなたぬきが自分でお風呂に入ったからです。白ネコは嬉しくなって、たぬきのことを石鹸で、じゃぶじゃぶ洗いました。すると、土のよごれが取れて、どんどん白くなっていきました。お風呂から上がると、たぬきは、前のたぬきの姿がわからないほど、ピカピカになっていました。

二匹は、トランプで遊んだあと、いっしょにサンドイッチを作りました。そして、外のしばふにすわって、星を見ながら、仲良く食べました。

桜に、月の光があたって、きらきらとかがやいていました。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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