
S・I君の作文に登場するニュージャージー州のRingwood State Park
S・I君がテーマに選んだのは、死ぬかと思った話。
アメリカでの生活経験のあるS・I君は、ニュージャージー州の公園で起きた事故について語ります。
短い文を連ねて、状況を淡々と説明しながら、読者の興味をひきつけていきます。
ささいな偶然の重なりや、ちょっとした気のゆるみが、けがや事故につながってしまうことがあります。
起きてしまったことは残念ですが、そうした経験によって、家族の大切さや命の大切さを再確認させられます。
S・I君の将来の夢につながる出来事を、どうぞお読みください。
生徒作品
※Webの表示に合わせて、改行をしています。
「あの日のきせき」
小5 S・I君
プロローグ
あれは、七才か八才のころの事だった。ぼくは、事故が起こる一年前から、アメリカに行き、ニュージャージー州に住んでいた。ぼくは、たくさん友だちを作っていた。事故が起きた日は、ぼくが自分の人生の中で、一番死ぬかと思った日、家族にもう会えないと思った日、あんなことをもうしなければよかったと思った日だ。思い出のぬいぐるみをもらえて、死ぬかもしれないのに、うれしかったけれど。
第一章 自転車に乗りたかった
ぼくは、事故が起こるだいたい二か月前から、お兄ちゃんの自転車を借りていた。その日は、ぼくも自転車に乗りたくて、運転の練習をさせてもらっていた。でも自転車は、ぼくには、大きすぎて乗れないということになった。ぼくは、そのころ、親友が貸してくれると思いもせず、未来におそろしい出来事が起こるなど、考えてもいなかった。
第二章 やさしい親友たち 双子のマフューとウィリアムと、エリックソン家のトビー
それからさらに一週間が過ぎた日のことだった。その日、お母さんが、ぼくの親友である双子の母親と自転車について話し合ってくれた。すると、親友の母親が、自転車を貸してくれた。それから、ぼくは自転車に乗る練習をした。
第三章 事故が起きた日の朝
事故が起きる数時間前だった。日が上るころだった。その時は、時計を見なかったけれど、たぶん五時四十五分くらいだったはずだ。その日、ぼくは、お母さんとリングウッドパークに行く約束をしていた。さらに、自転車に乗って、サイクリングをしていいということになった。まあ、そういうことで、自転車を車のトランクに入れてもらい、八時三十分くらいに、家族全員で出発した。
第四章 あの日のきせき
ぼくは、自転車をこいでいた。そして、坂を下ろうとしていた。ふりかえれば、かなりスピードを出してしまっていた。ぼくは、坂を下り始めた。すると、思いがけないような坂だった。なんと、半分までは坂で、もう半分が階段になっていた。ぼくは、急いでブレーキをかけようとしたが、遅かった。もうぼくは、空を飛んでいた。そしてぼくは、気絶した。
お母さんがぼくを呼ぶ声がして、ぼくは気がついた。おでこが痛くて、他のすりきずの痛みが感じられないほどだった。お父さんが救急車を呼んだ。ぼくは、中に運ばれた。ぼくは、おでこを三・五センチほど切ってしまったのだ。お母さんによると、骨が見えたらしい。ぼくは、死ぬかと思った。病院で、ぼくは、犬のぬいぐるみをもらった。額を、十八針ぬった。ベッドの上で、ますいからさめたぼくは、「ぼくは、死ななかったのだ」と思った。これこそが、あの日のきせきだ。
エピローグ
事故が起きてからしばらくたつと、お兄ちゃんの自転車に乗れるようになって、とてもうれしかった。この出来事をきっかけに、ぼくは、将来、医者になりたいと思うようになった。次は、「将来の夢」について書きたい。それでは、またお会いしましょう。