
小学3年生(8~9歳)の学習では、「自分はできる」自信を育み、自分の言葉で表現する力を伸ばすことが大切です。
目次
学習のテーマ
- 自信を持って自分のことを表現できる
心身の発達課題と社会的な課題

小学校中学年で最も重要な課題は、「自分はできる」という自信をつけていくことです。この「自己効力感」は、その後の成⾧の礎になります。工夫したことや努力したことをよく褒め、それとなく大人が援助をしながら成功体験を積み重ねられるよう、見守っていきたいところです。
体験による理解が大切な時期です。物事を実際に見て、触って、操作して、その性質を理解していくことが得意な段階です。そうしたさまざまな物事に関わる知識を比較したり、整理したりしながら、筋道立てて考える力、分類する力、空間的な把握の力が育っていきます。
学校生活では理科や社会が始まり、身近な生活を出発点として、自然や社会や科学、ルールに関する知識を広げていく時期です。言葉を言葉だけで取り扱うのではなく、実体験と結びつけながら理解できるような工夫や、知的好奇心を育む関わり方が大切です。
学びたい言語技術・取り組みたい思考課題・育みたい態度
- 読む
- 黙読:児童書の交互読みから黙読へ
説明文を読む - 書く
- 講師と整理したアイデアをもとに、作文が書ける
読んでわかったことをまとめられる - 考える
- 思考課題「共通点」・「特徴」・「仮定する」
「なぜ?」と疑問を持ち、「もしかしたら~かもしれない」と仮定して、調べる - 話す・聞く
- 好きなもの・こと・体験したことについて話せる
講師と対話しながら作文のアイデアを出せる - 態度
- 漢字・計算など基礎的な学習の習慣
読書習慣
課題例
読書

黙読への移行とさまざまな本との出会い
低・中学年向けの児童書の交互読みや、黙読をします。
物語では、登場人物の困難や葛藤を含むものや、異世界冒険譚など文章量も多いもの、危険や死、悲しみが含まれる作品や昔話も読んでいきます。「笑ってしまうようなおかしさ」だけではない、物語の奥深さを感じていきます。
自然や科学、社会について知る本として、フレーベル館の「しぜん」シリーズを中心に読み進めます。生活に根ざした知識の土台を作り、知的好奇心を育んでいきます。理科や社会に関わる知識を自然と身につけていきます。
説明文の読解と要約
『科学なぜどうして三年生』『科学のおはなし』を使用して、「なぜ?」と疑問に思ったことについて、「もしかしたら~かもしれない」と予想してから、本文を読んで内容を読み取り、文章にまとめます。読解と記述の力を伸ばします。
文章の指導

関心のあることや、できごと・気持ちを表現する
好きなこと・もの、体験したことについて紹介する文章を書きます。紹介したいこと・ものの特徴をとらえて、「いつ、どこで、だれが、どうした。」「◯◯は、何だ。」「◯◯は、どんなだ。」などの文を、前後のつながりを考えながら書いていきます。
出来事と気持ちを関連づけて説明します。「事実(したこと)」の後に、「気持ち(思ったこと・感じたこと)」を書きます。気持ちは、セリフや話し言葉でも構いません。
思考課題
思考課題「共通点」
「共通点」では、複数の物事の共通する性質について考えます。たとえの表現「まるで~のようだ」や、まとめの表現「つまり、~だ。」を学びます。
思考課題「仮定する」
「仮定する」では、「もしも」について考え、予想したり想像力を働かせたりします。
観察・ミッション(体験)
五感を使った観察や、作品制作に取り組みます。自分の感覚を働かせて、感じたり、工夫したりする体験の機会を作り、ことばにつなげていきます。
学習サポートのポイント

知的好奇心を育む
学校では理科・社会が始まります。身近な生活から広がる自然や町の仕組みに対して、体験しながら知る喜びを感じられるよう見守ります。
工夫を楽しめるように見守る・完璧を求めない
創意工夫を楽しむ姿勢を大切にします。正しさ・正解を求めすぎず、不完全であってもご本人の工夫や表現を尊重しながら見守ります。添削は、講師の介入に対するご本人の許容の程度に合わせて行います。
読書習慣を大切にする
読み書きに慣れ、児童書の楽しさを味わうことができるようになる時期です。また、中学入試を検討しているご家庭においては、受験勉強が本格化する前に、読書の楽しさを味わう大切な時間です。問題を解くための「手段」としての読書ではなく、読書そのものを楽しむための「目的」としての読書の時間を充分にとることが、文章そのものに対する理解を支えます。
この時期の困りごとへのアプローチ
文章が長くなると、内容を把握しきれない
小学校3年生になると、教科書や物語の文章が長くなり、複雑さも増してきます。文章を読む際には、段落ごとに要旨をつかむ練習をしましょう。重要な語句やキーワードに線を引いたり、短いメモを取ったりするのも有効です。読んだ後に、内容を自分の言葉で人に説明する練習も、理解度を深めるのに役立ちます。
登場人物の気持ちの変化や関係性を深く理解できない
物語を読む際に、登場人物の言動や表情から、その時の気持ちを想像する練習をしましょう。「なぜそう思ったのかな?」「この時、どんな気持ちだっただろう?」と問いかけながら読み進めるのも効果的です。登場人物の関係性を図で整理したり、それぞれの立場になって考えてみるのも、理解を深める助けになります。
自分の考えを順序立てて説明するのが難しい
自分の考えを説明する際には、「まず」「次に」「そして」「最後に」といった接続詞を使う練習をしましょう。話の構成を事前に簡単にメモしたり、箇条書きで整理したりするのも有効です。日常生活の中で、「どうしてそう思うの?」と理由を尋ねることで、論理的に考える力を養います。
意見文や感想文を書くのに苦労する
意見文や感想文を書く際には、まずテーマについて自分の考えを明確にすることが大切です。理由や根拠を具体的に書く練習も重要です。最初は短い文から始め、徐々に文字数を増やしていくと良いでしょう。
敬語や場面に応じた言葉遣いが適切にできない
日常生活の中で、様々な場面で適切な言葉遣いを意識するようにしましょう。家族や先生、友達など、相手によって言葉を使い分けることの大切さを教えます。ロールプレイング形式で、敬語を使う練習をするのも効果的です。絵本やドラマなどを通して、言葉遣いを学ぶのも良いでしょう。
説明文や資料から必要な情報を読み取れない
説明文や資料を読む際には、目的を持って読むことが大切です。「〇〇について知りたい」という目的意識を持つことで、必要な情報を見つけやすくなります。図やグラフと文章を照らし合わせながら読んだり、重要な部分を要約する練習も有効です。