【ワークショップ報告】「いろいろな豆の標本づくり」(@自由が丘)

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リテラでは、体験を元に生きたことばを紡ぐためのワークショップを随時開催しています。
今回は、2015年4月12日、自由が丘での初の作文ワークショップとなる『いろいろな豆の標本作り』の様子をご紹介します。当日は、小学校1年生から5年生の子どもたちが参加してくれました。

学習のポイント

言語技術教育とは、文章上の技法だけではなく、筋道だった考え方、コミュニケーション、自分を捉える力、抽象化能力など、あらゆる知的活動の軸となる力を育てる教育です。言語技術は、受験はもちろんのこと、自分の人生を「生きる力」となります。

イントロダクション

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ポイント
豆とは何かを考える(仮説)
プリントを読み、読み聞かせへの集中力を高める

新しい知識を得る際に大切になるのが、事前の意識づくりです。そのものについて知っていること/知らないこと、自分の体験や似たもの(「スキーマ」といいます)などを思い起こすことで、新しい知識を効率よく体系づけ、吸収するための受け皿ができます。学習において、物覚えがよい/悪いというのは、こうした「学ぶ姿勢」ができているかどうかにも左右されます。

読み聞かせ、および、プリント『豆ってなーに?』

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ポイント
集中して聞き、覚える
わかったことを書き込む

改めて、豆についての知識を得ます。能動的に聞き、理解しようとする姿勢が求められます。この読み聞かせは、「豆とはどのようなものか」を再確認し、次の「分類」への知識を得る、大切なパートです。知識は、活用して初めて意味を持ちます。中高一貫校などの試検問題では、知識を活かすための「活用力」が問われますが、普段から、知識を現実と関連させていくことが大切です。

プリント「マメマメクイズ」

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ポイント
分類する

「分かる」とは、他と「分ける」ことと同義です。分類は、一つひとつの豆をよく見る「観察」、他の豆との違いを捉える「比較」、他の豆との共通点を捉える「分類」というステップから成り立ちます。いずれも、「それは何か・どのようなものか」を理解するために必要な思考のプロセスです。豆の品種の分類基準は人間の感覚ではありませんが、ここでは、五感を基準にして分けていきます。表面の手ざわり、形、大きさなどを総合的に見て分類することで、具体的な豆一粒一粒を、品種というグループに当てはめ、「抽象化」していきます。

観察と比較

低学年

ポイント
大豆を観察する
作文を書く

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大豆を観察します。目で見て分かること(色・形・大きさなど)、聞いて分かること(音の高さ・大きさ・音色など)、さわってわかること(手ざわり・温度・重さなど)、かいでわかること(どんなにおいか)、食べてわかること(歯ざわり、温度、味、におい)など、五感を通してじっくり観察します。表現に「正解」はありません。自分にわかること・自分にしかわからないことを、他者に伝え、認められることは、大きな自信となります。また、常に自分の目で見て、体で感じ、考え、表現しようとする態度が、学習・生活への意欲につながります。

中学年以降

ポイント
違いと共通点を言葉にする

豆の全体像を理解するために、豆の違い(比較)と、グループの共通点(分類)を言葉にしていきます。品種全体の観察には、抽象的な思考力が求められます。知識は、整理・分類し、体系化することによって、意味を成します。今回は、五感を用いて特徴を捉えることで、「豆」とは何か・どのようなものかについての理解を得ました。なお、ワークショップで扱ったもの以外にも、日本では様々な豆が流通しています。デパートなどでぜひ様々な豆を探してみてください。

作文

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ポイント
書きことばを学ぶ

「分かった」ことは、他者に伝わるように表現しなければなりません。今回は、「いつ、どこで、誰が、どうした」といった書き出しや、「まず、次に」といった、順序を表す定型句を学びます。「作文が苦手」という場合、書き方を知らないだけということがほとんどです。また、文章にすることで、体験したことを意味づけ、未来に活かせる形にします。こうした文章技術は、記述式の課題でも、必ず求められます。

生徒作品と作文

小3・U君

四月十二日、リテラで、ぼくは、大豆のかんさつをしました。

はじめに、よく見てみました。すると、豆のへそがぬい目ににていました。まるで、たまごがゆがんだような形でした。色は、はだいろときいろがまざったような色でした。

つぎに、さわってみました。まるで、てつをさわっているようなかんじでした。かわは、せみのぬけがらのようでした。

そして、音を聞いてみました。豆をふると、ペンペン草をふったような、ペチペチという音がしました。豆をつくえにおとすと、小さいビー玉をおとしたような音がしました。

また、においをかいでみました。きなこのようなあまいにおいがしました。

さいごに、食べてみました。まるで、きなこのようなあじがしました。かわは、なにもあじがしませんでした。かわがあることで、豆のあじがうすくなっているとおもいます。なぜなら、かわをむいて食べると、あじがこいからです。

今日、かんさつして思い出したことがあります。それは、学校であずきをつかって、おぜんざいを作ったことです。

『豆の仲間の観察』(抜粋)
小5・K君

四月十二日、日曜日、リテラで、ぼくは、豆の観察をしました。

一つ目は、ダイズの仲間です。大豆、黒豆、青豆です。三つの種類の共通点は、形が丸く、大きさが、ヤマアマガエルのおたまじゃくしの頭くらいあるところです。

二つ目は、ササゲの仲間です。ササゲの仲間には、小豆、大納言、ささげ、緑豆があります。四つの種類の共通点は、たわら型をしていて、へその部分が細くなっていることです。

三つ目は、インゲンの仲間です。インゲンの仲間には、虎豆、うずら豆、金時、大福豆、花豆(白)、花豆(紫)などがあります。六つの種類の共通点は、形がだ円形で、へそがふくれていたりへこんでいたりしていることです。

四つ目は、エンドウの仲間です。エンドウの仲間は、赤えんどう、青えんどうなどです。二つの種類の共通点は、丸くて、へこんでいる部分があり、おく歯のような形をしていることです。

最後は、その他の豆です。名前は、ヒヨコマメ、ヒラマメ、ラッカセイ、コーヒーマメです。ヒヨコマメは、チキンの丸焼きのような形です。ヒラマメは、小さくてまるい形です。ラッカセイは、大きなだ円形が二つつながっている形です。とげがはえたような部分があります。コーヒーマメは、真ん中に線が入っていて、こげ茶で、くちびるのような形をしています。コーヒーマメは、「マメ」とつくけれど、マメの仲間ではなく、木の実の仲間ということがわかりました。

今日見た中で、ぼくが、一番好きな豆は、ラッカセイです。なぜなら、もようが恐竜のようで、とがった部分がしっぽのようになっているからです。

次回、自由が丘では、5月10日(日)作文ワークショップ『書きことばを身につけよう!』が開催されます。ぜひご参加ください!

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

カテゴリー: ワークショップの報告

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