なぜ読書? ―― 社会的な読書を目指して

社会的な読書を目指して

読書をよくするべきである、読書をすることは良いことだとどんな教育現場でも当たり前のように謳われており、それに反対する人はほとんどいないといってよいでしょう。

しかし、読書の何が子どもを育てるのでしょうか。また、どうすれば読書の楽しさに気がつき、また本の世界を深く味わうことのできる子どもになるのでしょうか。このような疑問や悩みを多くのご家庭からうかがいます。

では、読書を通して得るものはどんなものでしょうか。下に箇条書きで上げてみました。この文章を読まれているみなさんもお考えになったものを付け足してみてください。

  • 人生に楽しみを与える。
  • 「感じる」、「思う」、「考える」といった思考を働かせ、心を動かすきっかけとなる。
  • 言葉の世界を育む環境となり、子どもたちが書き言葉に日常的に触れることができる。
  • さまざまな人生、世界の有り様を知る・疑似体験することができる。
  • 理解する力を養う。
  • 知識や情報を得て、活用するができる。
  • 本を共有し、語り合うことができる。

第一に、読書は人生を豊かにするものであるということです。その豊かさには、純粋な楽しみもあれば、人生におけるさまざまな悲しみや苦しみを知るということも含まれるでしょう。またその時置かれた自分自身を取り巻く状況から一度離れ、別の視点を与えるきっかけとしても機能します。

第二に、子どもたちが書き言葉に触れ、それを身につけるための環境となるということです。読書は、楽しみながら書き言葉を学ぶ環境として機能します。

第三に、様々な知識を得、そしてそれらについて考え、行動へ結びつけるきっかけとなるということです。「理解する」「考える」「行動する」というこの一連の働きを機能させることが、優れた読書家を優れた実践家にします。

第四に、本を通して、他者と交流を持つことができるということです。読んだ本について、誰かと話し合ったときに、よりその内容が深く理解されたり、共有することの喜びを得たりした経験は、だれしも一度はあるのではないでしょうか。

以上のような視点に立ち、リテラは、子供たちが読書を通して次の活動ができるように関わっていきます。

  • 子どもが自ら本を手に取り、ひたすら読む。
  • 読んだ本の意味、内容を理解し、あるいは解釈する。
  • 読んだ本が自分に合った本だったのかどうか、評価できるようにする。
  • 子どもが自分にあった本を選べるようになる。
  • 他者に向けて話すこと、書くことを前提とした読書を体験する。
  • 読書を広めていく側になる。友達、家族に紹介できるようにする。
  • ブッククラブを企画・計画し、他者とともに本を読み合う。

今まで読書指導には、大人が一方的に子どもに古典名作を薦めてしまう、逆に子どもが楽しんでいることに安心して、全く子どもの読書に関わることをやめてしまう、あるいは「読書は一人で味わうもの」といった狭い楽しみだけにとどめてしまうといった負の側面もありました。

この教室では、子どもたちが現実と関わり合いながら、他者と交流するきっかけを見いだすことのできる社会的な読書に取り組んでまいります。そのような視点に立ち、指導者がその子の興味・関心、読む力などを考慮に入れ、適切な図書を推薦したり、本の選び方をアドバイスします。同時に、ご家族のご協力を得ながら、ご家庭での読書習慣を作るお手伝いをいたします。そして、本を仲立ちとして、子どもたちにとって一番身近な他者であるご家族のみなさまとの対話の機会が増えることを望んでいます。そこから、より大きな「読み・書き・考え・対話する」取り組みへアプローチしていきます。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 教育コラム

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