うっかりミスをなくすには

うっかりミスはなくせない

書くべき単位を書き忘れた、問題を読み間違えた……。
直しの時にこんなうっかりミスに気づくと、悔しいものです。
どうしたらうっかりミスをなくせるのかというご質問も、保護者からよく寄せられます。

残念ながら、今すぐすべてのうっかりミスをなくすことはできません。
なぜなら、うっかりミスは、気づいていないところで起こるからです。
気づいていないところで起こるミスに気をつけるというのは、なかなか難しいものです。

うっかりミスはなぜ起こる?

うっかりミスには、さまざまな要因があります。

精神的・身体的な要因

不安や緊張は、集中力を低下させます。
大切なテスト中、ドキドキしていつも通りに考えられなかったり、難しい問題を見て焦ってしまい、簡単な計算を間違えてしまったりすることがあります。

同様に、疲れや眠気も、ミスの原因となります。
どうしてもぼんやりしてしまって、うまく考えられないといったことは、誰にでもあるかと思います。
特に子どもたちにとって、こうした精神的・身体的条件の影響は、大きなものとなります。

発達的な要因

自分の状態や行動を客観的に見るもう一人の自分が育っていない、という要因もあります。

テストというのは緊張して当たり前です。大切なテストほど、緊張します。
そうした場で、汗をかいたり、のどが乾いたり、お腹が痛くなったりと、緊張のシグナルは出ているのに、自分の緊張に気づいていないことがあります。
いつもと同じように問題を解いているつもりでも、実は集中力が途切れていて、問題文をちゃんと読んでいない……。
緊張を自覚していれば、深呼吸をしたり水を飲んだりと、対処もできるのですが、緊張状態の自分に気づいていなければ、それも難しくなります。

また、客観的な視点がないと、自分の書いた字や文章の違和感を無視してしまうことがあります
明らかにつながっていない漢字の線をつながっていると言い張ったり、自分の書いた文の誤りを無意識に修正して読んでしまったりと、そばで見ていると不思議なことが起こります。

うっかりミスをなくすには

短期的なサポート

うっかりミスをなくすには、何よりもまず、疲れていないか・眠気がないか・不安を抱えていないかを確認しましょう。
本人にその自覚がなくても、眠れない・学習中に眠気が強い・爪を噛んだり髪の毛を抜いたりの行動があるなど、ストレスのシグナルには注意してください。
そうした要因をできるだけ緩和した上で、生活リズムを整え、リラックスできる時間をつくりましょう。

また、集中できる環境を整えましょう。
周囲に音があったり、人がいたりすると、なかなか集中できません。
目に見えるノイズや聞こえてくる音をできるだけ減らし、休憩と集中のメリハリをつけながら、「集中している感覚」を養いましょう。
その感覚が、テストで自分が集中できているかどうかを判断する際の基準となります。

最後に、うっかりミスはどうしても起こるものですから、気にしすぎないように伝えることも大切です。

長期的なサポート

体も心も発達途上の子どもたちにとって、「うっかりミス」は必ずついて回るものです。
そして「うっかりミス」は自分の意識の外で起こるものですから、子どもたちにとって、自分がおかしてしまったミスという感覚は、持ちにくいものです。
ですから、一つひとつのミスについて、どうしてこんなミスをしてしまったのかと責めても、子どもたちはどうしたらよいのかわかりません。
まるで、他人がしたミスで責められているように感じてしまうのです。

同じものを見て、同じように考える、というのが指導の基本です。
うっかりミスがあった場合、まずはそれを認めてあげること、深刻にならずに笑ってあげること、一緒に受け止めてあげることが重要です。
その上で、時間配分や設問への理解、その時の心の状況を共有します。
取り組んでいる際の集中や疲れの度合い、癖、時間のかけ方などを観察し、フィードバックすることは、その子が自分の状態に気づけるようになるための助けとなります。
また、読み直し・解き直しなどの方策、リラックスするための深呼吸のしかた、丁寧に問題を読む姿勢など、うっかりミスをなくすための方法を一緒に考え、練習をすることで、自分をコントロールする方法を学びます。

このような信頼関係ができて初めて、子どもたちは、自分のミスを認められるようになっていきます。

長い視野でサポートを

受験期、子どもたちの大きなテーマは「自分を知る」ということです。
テストを通して、子どもたちは自分の知らない自分や本当の気持ち、弱さを知り、向き合っていくことになります。
これは、ある意味でよい点をとる以上に難しいことです。

子どもたちの成長は続いていきます。
受験がその後の糧になるよう、一つひとつのミスを気にしすぎず、長い視野で成長をサポートしていきましょう。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 教育コラム

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