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目次
本の紹介
ハイメは、メキシコで暮らす11歳の少年です。ハイメは目が見えないけれど、サッカーやロックのコンサート、映画が好き。ある日、ひょんなことから、一人だけで学校から家まで帰らなければならなくなります。どこに向かっているのかわからないバス、人々の喧騒であふれる市場。ハイメは、無事に家にたどり着けるのでしょうか。
一日の冒険を、ハイメの感じる世界を通して生き生きと描きます。
本のテーマ
「てんとうむしメソッド」で考えよう

ハイメは、目が見えませんが、みんなと同じように一人の人間として生活したいと思っています。
一方、目が見えないことから、周囲の人から心配されたり、偏見の目で見られたりします。
そんなハイメですが、最後には、自立への冒険をはじめようと考えます。
この結末につながるために、ハイメが変わったのはどんなところでしょう。
考えるヒント
- ハイメはなぜ、一日のできごとを、大好きな両親に秘密にしたのでしょう?
- 兄のミゲルとの間に「秘密」を持つことで、なぜハイメの心は軽くなったのでしょうか?
- 電話の最後におじいちゃんがくれた言葉は、どのようなことをハイメに伝えていると思いますか?
タイプ別:読み方・書き方
あなたはどのタイプ? 読書感想文の取り組み方がわかるタイプ診断
タイプ別に、読書感想文の読み方・書き方をご紹介します。まずはお子様またはご自分のタイプを診断しましょう。

各タイプのくわしい解説は、「あなたの子はどのタイプ? 読書感想文の前にやってみたい「4タイプ診断」」をご覧ください。
作家タイプ

作家タイプのお子さんは、登場人物の気持ちや、その奥にある意味を考えるのが得意です。「このお話は何を伝えたいのだろう?」と、テーマまで自然に考えられる力を持っています。また、自分の経験をふり返りながら考えることができるため、深い感想文を書く力があります。
作家タイプの子の扉を開く質問
- 市場で転んだハイメは、無言のまま立ち上がるのを助けられ、服のほこりをはらってもらいます。その後、「妖精のおばさん」に、傷の手当をしてもらいます。同じ「助けられる」体験でも、ハイメは、「無言の手」と「妖精のおばさん」にまったく違う思いを抱きます。その違いはどこから生まれるのでしょう。
作家タイプの子は、同じように思える行動に含まれる本質的な差を捉えることができます。ハイメの感じたことから、「助けること」と「ともに生きること」の違いを考えてみましょう。
研究者タイプ

研究者タイプのお子さんは、物事を「どうしてだろう」と考えるのが得意です。できごとをそのまま受け取るのではなく、原因や理由を知ろうとする力があります。「なぜこうなったのか」「どうすればよかったのか」と、順番に整理して考えることができるタイプです。
研究者タイプの子の扉を開く質問
- ハイメは目が見えないため、代わりに、においや音、想像力を使って、世界を捉えています。そのやり方は「不完全」なのでしょうか、それともハイメなりの「完成した方法」なのでしょうか。
研究者タイプの子は、ものごとの構造を考えることができます。物語には、目の見えないハイメに気をつかったり、遠目に見たりするだけの人と、ハイメの感じ方・暮らし方に興味を持って聞いてくる人がいますが、その違いについて考えてみましょう。
探検家タイプ

探検家タイプのお子さんは、物語の出来事や展開を楽しむのが得意です。「次はどうなるの?」と、お話の流れを追いながら読む力があります。
登場人物の行動や、起きた出来事に興味を持ち、自分もその中にいるような気持ちで読めるタイプです。
探検家タイプの子の扉を開く質問
- あなたも誰かと秘密を分かち合ったことはある? その時、どんな気持ちがした?
探検家タイプの子は、キャラクターに自分を重ねることが大切です。秘密を共有することが、相手との関係にどんな影響を与えるか、具体的な体験から考えてみましょう。
魔法使いの弟子タイプ

魔法使いの弟子タイプのお子さんは、物語を「いっしょに体験する」ように読むタイプです。
登場人物と同じ気持ちになったり、「いいな」「やってみたい」と感じながら読むことができます。まだ自分の考えを言葉にするのはむずかしくても、感じたことはしっかり心の中にあります。
魔法使いの弟子タイプの子の扉を開く質問
- ハイメは、音やにおいで世界を捉えています。あなたは、どんな音やどんなにおいがしたら、「ここは安全だな」と思いますか? 目を閉じて想像してみましょう。
魔法使いの弟子タイプの子どもたちは、五感を通して表現することができます。本作では、音やにおいを通して、メキシコの生活を感じることができます。あなたも、音やにおいを通して、自分の世界を表現してみましょう。
読書感想文の具体的なステップ
世界でひとつの読書感想文の書き方

読書感想文を、3時間ほどで書き上げるステップをまとめています。お子さまご自身のことばを、小さな断片からだんだんと大きくふくらませていき、まとめあげていきます。ありきたりな作文ではなく、今しか書けない、世界でひとつの読書感想文を書き上げましょう。
より深くテーマを考えるために:リテラの読みかた
自分だけの「光」で世界を見る
メキシコに住む11歳の少年、ハイメ。目が見えない彼は、音やにおい、そして豊かな想像力を駆使して、誰よりも鮮やかに世界を「見て」います。『それからぼくはひとりで歩く』は、そんな彼が期せずして挑むことになった「家までの旅」を通し、障害という壁の正体と、自立への一歩を描き出します。
「あわれみ」という名の、見えない壁
ハイメが冒険の途中でぶつかるのは、どこへ向かっているのかわからないバスや、市場の混雑だけではありません。彼を最も深く傷つけるのは、周囲の大人たちが無意識に放つ「あわれみ」の視線です。 市場で商品を倒してしまった際、店主の恫喝以上に彼を打ちのめしたのは、言葉もなく彼に触れる「誰かの手」でした。それはハイメを対等な人間としてではなく、「自分たちとは違う、保護すべき存在」として遠巻きにする、冷たい境界線です。一方で、善意からであっても、目の見えないハイメのために、あえて「見る」という言葉を避けてぎこちなくなる人々の気遣いもまた、ハイメにとっては心理的な距離を感じさせる原因となります。
「共犯関係」が育む、人間的な絆
しかし、ハイメを救い出すのは、意外にも「不完全な人たち」との関わりです。 バスに置き忘れたリュックを届けてくれた「不機嫌な妖精のおばさん」は、最初は偏見に満ちた言葉を投げかけてきますが、最後にはハイメがついた嘘に口裏を合わせてくれます。また、兄のミゲルとも秘密を共有し、新しい信頼関係を築きます。 これらは清廉潔白な関係ではありません。しかし、嘘を共有する「共犯関係」になることで、彼らは「障害者と健常者」という境界を越え、一人の人間として、対等で泥臭い関係を結ぶのです。
自立とは、自分だけの冒険に責任を持つこと
ハイメを信じ、可能性を引き出すおじいちゃんの存在は、本作の大きな光です。「おまえならできる」と信じて自転車を贈ったおじいちゃんは、かつて自分がついた「嘘」を真実にするために必死で努力した過去を語ります。おじいちゃんの言葉は、ハイメが両親に本当のことを言わずに「秘密」を持ち続ける決断をしたことと深く共鳴します。心配をかけないという「よい面」と、良心の痛みを背負う「悪い面」。その両方を引き受けて、「ひとりで歩く」こと。それこそが、ハイメにとっての「自立」の始まりなのです。
境界線を越えて
クラスメイトのパウリーナやポンチョ、ハイメの生活に興味津々で質問してくるオスカル。彼らは目が見えないことを特別視せず、ただ「違い」として受け入れ、ともに生きようとします。ハイメが味わった「深い井戸の底に一人取り残されたような孤独」は、私たちが誰かを「あわれむべき対象」として切り離したときに生まれるものです。本書は、その井戸に梯子をかけるのではなく、一緒にその場所で笑い、時に秘密を共有することの尊さを、ハイメのきらきらした笑顔と共に教えてくれます。
「どんな山でも、越えていける」。おじいちゃんの力強い言葉は、読み終わった後も、読者の胸に残り続けるでしょう。
2026年 読書感想文課題図書のページ
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