【2026年読書感想文特集】『まだまだここから』宇佐美牧子(小学校中学年向け課題図書)

本の紹介

小学4年生の蓮は、水泳に自信を持っていました。練習日だけでなく、自主練習に通って、スイミングスクールの「特訓生」を目指します。しかし、特訓生に選ばれたのは、弟の凛でした。

結果につながらなければ、がんばりはむだになってしまうのでしょうか。

さわやかな夏空の下、ひたむきに打ち込む主人公たちの姿が心に残る一冊です。

本のテーマ

「てんとうむしメソッド」で考えよう

蓮は、スイミングスクールの「特訓生」に選ばれたいと願っています。
しかし、努力しても「特訓生」に選ばれませんでした。

そんな蓮ですが、最後には、「気もちがいいから泳いでいた」ことを思い出します。

この結末につながるために、蓮が変わったのはどんなところでしょう。

考えるヒント

  • 春さんの指導には、どのような特徴がありましたか。その結果、蓮は、どのように泳げるようになりましたか。
  • 最初の特訓生テストの後の気持ちと、TSS杯への出場を決めるテストの後の気持ちは、どのように違いましたか。
  • 「だれでも百メートルリレー」の結果が描かれていないのは、なぜだと思いますか?

タイプ別:読み方・書き方

あなたはどのタイプ? 読書感想文の取り組み方がわかるタイプ診断

タイプ別に、読書感想文の読み方・書き方をご紹介します。まずはお子様またはご自分のタイプを診断しましょう。

各タイプのくわしい解説は、「あなたの子はどのタイプ? 読書感想文の前にやってみたい「4タイプ診断」」をご覧ください。

作家タイプ

作家タイプのお子さんは、登場人物の気持ちや、その奥にある意味を考えるのが得意です。「このお話は何を伝えたいのだろう?」と、テーマまで自然に考えられる力を持っています。また、自分の経験をふり返りながら考えることができるため、深い感想文を書く力があります。

作家タイプの子の扉を開く質問

  • 結果として報われなくても、努力する意味はあると思う? 理由も考えてみましょう。

作家タイプの子は、テーマそのものを考える力があります。蓮の心に浮かんできた問い、そしてひと夏をかけて得た答えについて、考えてみましょう。

研究者タイプ

研究者タイプのお子さんは、物事を「どうしてだろう」と考えるのが得意です。できごとをそのまま受け取るのではなく、原因や理由を知ろうとする力があります。「なぜこうなったのか」「どうすればよかったのか」と、順番に整理して考えることができるタイプです。

研究者タイプの子の扉を開く質問

  • 春さんの指導は、どんなところがいいと思う? 蓮に足りなかったものは、なんだろう?

研究者タイプの子は、物事の原因や関係を考えることができます。蓮が受けた春さんの指導から、蓮に足りなかったものや、蓮が得たもの・思い出したことを考えてみましょう。

探検家タイプ

探検家タイプのお子さんは、物語の出来事や展開を楽しむのが得意です。「次はどうなるの?」と、お話の流れを追いながら読む力があります。

登場人物の行動や、起きた出来事に興味を持ち、自分もその中にいるような気持ちで読めるタイプです。

探検家タイプの子の扉を開く質問

  • あなたも蓮のように、努力したけれど報われなかったことはある?

探検家タイプの子は、自分の素直な気持ちを表現することができます。自分も蓮と同じように、努力したこと、その中で感じたことを表現してみましょう。

魔法使いの弟子タイプ

魔法使いの弟子タイプのお子さんは、物語を「いっしょに体験する」ように読むタイプです。

登場人物と同じ気持ちになったり、「いいな」「やってみたい」と感じながら読むことができます。まだ自分の考えを言葉にするのはむずかしくても、感じたことはしっかり心の中にあります。

魔法使いの弟子タイプの子の扉を開く質問

  • あなたの好きなシーンや登場人物について、教えて。

魔法使いの弟子タイプの子どもたちは、本の内容を自分につなげることが大切です。蓮は、さまざまな思いを持ったキャラクターや、自分自身との交流を通して成長していきます。心に残ったシーンやキャラクターをいくつか挙げて、なぜ印象に残ったのか、その時に抱いていた気持ちはどのようなものだったのか、話し合ってみましょう。

読書感想文の具体的なステップ

世界でひとつの読書感想文の書き方

読書感想文を、3時間ほどで書き上げるステップをまとめています。お子さまご自身のことばを、小さな断片からだんだんと大きくふくらませていき、まとめあげていきます。ありきたりな作文ではなく、今しか書けない、世界でひとつの読書感想文を書き上げましょう。

より深くテーマを考えるために:リテラの読みかた

水の中で見つけた「自由」という名の報酬

懸命に努力したことが、目に見える「結果」として報われなかったとき、その時間は「むだ」になってしまうのか。本作は、水泳の検定に落ちた少年・蓮の心の揺れを通して、努力という行為の真の価値を問い直します。

「~しなければならない」という重圧からの脱却

物語の序盤、蓮を縛っていたのは「特訓生にならなければならない」という強い想いでした。結果を求めて力んでいた蓮の泳ぎは、挫折を経て、新しい友人たちとの出会いの中で変化していきます。自分に足りないものを素直に受け入れたとき、彼の泳ぎからは不自然なリズムが消え、徐々に水と溶け合っていく。それは「何かを成し遂げるため」の泳ぎから、「自由になるため」の泳ぎへと進化した瞬間でした。

努力の価値は、誰が決めるのか

本作には、安易に「努力は無駄じゃないよ」という言葉を言うキャラクターは出てきません。一心不乱に努力した本人にとって、その時間が無駄でなかったことを一番よく知っているのは自分自身です。周囲が安易な言葉で慰めないことこそが、蓮の費やした時間に対する誠実な態度なのだと感じます。報われなかった結果の先に残ったのは、資格や順位ではなく、共に笑い合える友人や、自分自身と向き合った濃密な時間。その「かけがえのない過程」こそが、蓮にとっての本当の収穫だったのです。

言葉にならない「自由な瞬間」

必死に何かを目指した者にだけ、ふと訪れる瞬間があります。それは、周囲の期待や自分自身の焦りから解放され、ただ水の中で自分と世界が一体になるような、言葉を超えた自由な感覚です。ラストシーンの真っ青な空は、「特訓生にならなければならない」という想いから解き放たれた、蓮の心の象徴のように感じられます。

今、何かの途中にいる人へ

蓮が市民プールで新しい仲間と出会い、コーチや家族との関係を再構築していく中で見つけたものは、単なる泳力の向上ではありませんでした。それは、「結果というゴール」の先にも人生は続いていくという、確かな手応えです。

この本は、今まさに何かに向かって努力している人、そしてその努力が報われずに立ち止まっている人に、「それでいいんだ」と優しく寄り添ってくれます。水面に映る青空のように、澄み切った心で次の一歩を踏み出す蓮の姿は、読者の心にも心地よい「自由なリズム」を刻んでくれることでしょう。

2026年 読書感想文課題図書のページ

随時更新していきます。

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書き上げるのが大変な読書感想文。でも、読書とは本来、楽しいもの。読書感想文を素敵な学びの機会に変えてみませんか?

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この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: ブックレビュー, 読書感想文

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