【生徒作品】物語『雪の日のおくりもの』 (小4・Kさん)

今回は、小学四年生のKさんの書いた物語の紹介です。この作品に登場する雪だるまの「ゆきちゃん」は、リテラで物語作りを始めるよりも、ずっと以前からKさんの心の中にいた、Kさんの友だちでした。一人でお留守番をしている子どもたちに向けて書いたKさんの物語をお楽しみください。

物語作りプロジェクトについては、以下の記事をご覧ください。

作品紹介

雪の日のおくりもの
小4・Kさん

雪の日のおくりもの表紙1
雪の日のおくりものイラスト1

小さな村に、長い長い冬がやってきました。冬の間ずっと、雪がふりつづいています。その村に、一けんの赤いやねの家がありました。そこには、親子三人がくらしていました。

外は寒いけれど、家に入るとストーブがついているのであたたかいです。そのへやには、女の子が一人でおるすばんをしていました。女の子は、まどの近くで木のいすにすわって、フカフカのクッションにもたれながらお花のずかんを読んでいます。

お昼になっても、まだ雪がこんこんとふっています。庭は音がまったくなく、さびしいです。あたたかい時はいろとりどりのお花がさいているけれど、冬は雪でまっしろです。

女の子は雪で遊びたいなと思っています。しかし、寒いのでなかなか外に出られません。だから女の子は、雪がやむのをまっています。

でも、がまんしきれなくて、外にでることにしました。寒くないように、赤いセーターの上にコートを着て、ぼうしをかぶってマフラーをして、手袋をして、さいごにあたたかいくつをはきました。

「庭で何して遊ぼう。楽しみ。」

女の子はワクワクしながら、ドアをあけました。

まっしろな雪がいっぱいつもっていました。女の子は、足もとにある雪をさわってみました。さらさらしていました。

さっそく女の子は雪だるまをつくって遊ぶことにしました。

さいしょに雪をかためました。それをどんどん転がしていきました。おへそぐらいの高さまで大きくなったころには、体があたたかくなってきました。すぐに雪だるまの顔をつくり始めました。

女の子は雪をまるめながら「どんな顔にしようかな。どんな名前にしようかな。」とワクワクしています。

そして、考えながら家にもどり、いろんなものを集めてきました。

目は黒いボタンで、鼻はペットボトル。木でできた口はにっこりわらっています。えだでつくった手には、手ぶくろがはめられ、首にマフラーをまいて、赤いバケツのぼうしをかぶっています。

雪の日のおくりものイラスト2

これで雪だるまがかんせいしました。

女の子がどんな名前にしようかなと考えていると、雪だるまがのそのそと近づいてきました。

「あれ、この雪だるま動いた。」

女の子は少し後ろに下がっていきました。すると、雪だるまがのそのそと近づいてきて

「こわがらないで。」とやさしくいました。

「分かった。」と女の子は、少しびっくりしながらうなずきました。

「私の名前はゆき。雪の国から来たんだ。」と、雪だるまは元気にいいました。

「私の名前はすみれ。九才。」

「すみれちゃんてよぶね。」

「じゃあ、私はゆきちゃんてよぶね。」

二人はにっこりして、「遊ぼう」といいました。そして、庭にあるこおった池で、スケートをすることにしました。

すみれは、なやから赤いスケートぐつを二足もってきました。そして、ゆきちゃんがはこうとしましたが、足がありません。

「作ってあげる。」

そして、雪で足を作ってあげました。

二人はスケートぐつをはいてこおった池をすべりました。すみれは、ひさしぶりだったので、すこしゆっくりすべりました。けれども、ゆきちゃんはすいすい速くすべります。

雪の日のおくりものイラスト3

「ゆきちゃんすごい。」

「いっしょにすべろう。」と、二人は手をつないですべりました。

すみれはだんだん上手になってきました。

「楽しい。」と、すみれは笑顔でいいました。ゆきちゃんも楽しくなりました。すべっているうちにだんだん体があたたかくなってきました。くるりと赤いコートのすそがふわっとなりました。見えるふうけいがどんどんすてきになります。雪がきらきら光って見えます。夕日で空が赤くなるまで、二人は楽しく遊びました。

すると、遠くのほうから

「ゆきちゃん」と、声がしました。

「あ、お母さんだ。」

雪の日のおくりものイラスト4

空とぶソリに乗ってお母さんがゆきちゃんをむかえにきました。

「ごめんね、帰らなきゃ。」

「もう帰っちゃうの。」

すみれは悲しくなりました。

「来年の冬、また来るね。」

ゆきちゃんも悲しそうにいいました。

ゆきちゃんのお母さんがすみれに「いっしょに遊んでくれてありがとう。」といって、お礼にゆきちゃんのかぞくの写真をくれました。まるいかまくらのような家の前でとった写真でした。お母さん、お父さん、お姉ちゃん、弟、ゆきちゃんがうつった、笑顔の写真でした。

「ありがとう。大切にします。」

すみれはスケートぐつをお返しにあげました。

「さようなら。」と、すみれがいいました。

「バイバイ。」と、ゆきちゃんがいいました。

ゆきちゃんは、家族といっしょにソリに乗り、空へとんでいきました。すみれは見えなくなるまでずっと見送りました。

あとがき

私は、学校から帰ったあと、一人でお留守番をしています。だから、お留守番をしている子のさびしい気持ちがよくわかります。そして、雪の日に、雪だるまの「ゆきちゃん」を作った時、ゆきちゃんを物語に登場させたら、さびしい気持ちから、楽しい気持ちになると思ったから、この物語を書きました。

私は、物語で「冬」の寒さと、暖かさを感じられる表現ができたと思います。

この物語を、お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、おじいちゃん、おじさん、そして、一人でお留守番をしている子たちに読んでもらいたいです。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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