【プロジェクト】動物新聞 Rさん・小5

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今回は、Rさんの新聞作りプロジェクトの紹介です。

小学5年生のRさんは、動物が大好きな女の子です。『フレディ』(ディートロフ・ライヒェ作/旺文社)、「黒猫サンゴロウの冒険シリーズ」(竹下文子作/偕成社)など、さまざまな動物の登場する物語を教室で借りて読んでいます。

そんなRさんが、新聞づくりプロジェクトのテーマとして選んだのは、イヌでした。

「書くための読書」を体験できる新聞づくりプロジェクト

新聞作りプロジェクトには様々な学びがふくまれています。その大きな特徴は、第一に、主体的に学ぶことの楽しさを体験できること。第二に、物語を楽しむ読書だけではなく「書くために読む」という新しい読書の仕方が体験できることにあります。

与えられるだけではなく、自ら学ぶ内容を選択することで、子どもたちは、学習者としての誇りと責任を得ることができます。そうした自覚が、目的をもった学びへの主体的な参加や、計画性へとつながるのです。

今回は、興味のあるテーマについて、次のような手順で取り組みました。

  • 図書館のレファレンスコーナーを利用して複数冊の本を借りる
  • その本を読み、学んだことを「研究ノート」にまとめる
  • その研究ノートの中から、特に伝えたいことを新聞にまとめる

物語を楽しむ読書と、書くための読書との大きな違いは「目的意識」です。目的を持って読むことは、情報の価値を見定めながら読む読み方になります。たとえば「ここは、イヌとオオカミの違いについて説明されているな」とか、「ここでは、ヘアレスドッグという毛のないイヌがなぜ生まれたのかについて書いてある」といったように、説明内容=テーマを理解しながら読むのです。

説明文の読解に苦手意識を持つ子の理由の多くに、「内容に興味が持てないから」という声をよく聞きます。内容に興味が持てないまま、問題集を与えられて機械的に一斉授業で解いていく、という繰り返しで、そうした説明文嫌いはますます強まります。

新聞づくりプロジェクトは、主体的な取り組みを通して、物語から説明文へ「読書の橋渡し」をする役目も担っています。

作品紹介

Rさんの書いた新聞記事の一部を紹介します。

動物新聞
第一号 発行者 Rさん(小5)

この新聞は、犬について様々な視点から紹介しています。

犬の気持ちと態度

  • うれしいとき
    しっぽをくるくるとまわしながら飛びついてきて顔をなめようとする。
  • おこっているとき
    毛を逆立てて、自分を大きく見せて、きばをむけ、ウーという低いうなり声をあげる。
  • おびえているとき
    耳としっぽをたらして全身をちぢめ、おどおどした表情で見上げる。
  • しかられたとき
    耳をねかせ、かた足をあげながら、横になっておなかを見せる。
  • 甘えたいとき
    クーンと甘えた声を出しながらすりよってくる。
  • お願いしているとき
    おすわりをして、目でうったえながら、なんどもかた足を上げる。
  • くつろいでいるとき
    ごろごろころげまわって遊んだりする。
  • きんちょうしているとき
    耳を音のする方に向けて、全神経を集中させる。
  • 目上の人へのあいさつをしているとき
    相手をぺろぺろなめる。相手を尊敬しているしょうこ。

犬とオオカミのちがい

犬とオオカミは似ているところもありますが、行動のしかたや体つきが違うため、犬はオオカミを先祖として誕生していません。しかし、犬とオオカミは、共通の先祖を持ちます。犬は四千万年から三千万年くらい前に、犬として進化をはじめた生き物で、オオカミは、山や林に適応して、独自の生き物になっていきました。

犬と人の歴史

犬は、二万年から五万年ぐらい前から人とくらしていました。動物界から最初に人のところへやってきたのは犬でした。太古から犬と人は友達であり、いっしょに生きていました。昔、エジプトの人達は、人が亡くなった後にミイラにしてのこそうとしていました。ピラミッドの地下にはミイラを安置する部屋がありました。そしてそのひつぎの横には犬の姿をした墓の守り神アヌビス神が配されていました。犬は、古代エジプトでは番犬としても活躍していたので、墓守に指名されたのです。

応急手当の方法

  • 軽い傷
    傷口の毛をかりとり、消毒する。
  • 重い傷
    傷口を、消毒した布でおさえて上から包帯できつくしばる。
  • やけど
    やけどをした部分を流水で冷やす。
  • 熱射病
    首や足のつけねを氷で冷やす。
  • 中毒
    のどをつまらせないようにして吐かせる。
  • のどをつまらせた時
    大きい犬の場合は首の後ろを強くたたく。小さい犬の場合は、後ろ足を持って逆さにしてゆする。

自分の考え

私は、犬について調べて、犬を捨てると人をかみ殺したり、食べ物をうばいとろうとするようになると知りました。このようなことにならないように、私はこれから犬を飼おうと考えている人に「もし犬のお世話をすることがいやになったとしても犬を簡単に捨てないで下さい」とお願いしたいです。

私は、犬を捨てる人は、犬を飼わない方が良いと思いました。犬を捨てる人は、犬をただかわいいと思っているだけで、自分には犬を買う責任がないと思っていると考えるからです。私がもしも犬を飼うとしたら、一生お世話をします。子犬のころはキャンキャン鳴いて、人が寝かしつけないと寝なかったり、老犬になって病気になりやすくなることがあると思うけれど、それが命と向き合うことだと思います。

参考にした本

  • 『動物の学校1 犬はぼくらの友だちだ』 畑正憲作・絵 講談社
  • 『かわいいペットの飼育法 イヌのひみつ』 タカシトシコ 金井透、中村聡 ポプラ社
  • 『イヌ すぐに役立つペットの飼い方』 高崎計哉 偕成社

生徒たちからのコメント

  • 現代でもそうだけれど、古代から人と犬は関係があることがわかった。(Oさん・小6)
  • 犬はオオカミが先祖だと思っていたけれど、そうでないことにおどろいた。(Y君・小6)
  • 犬がうれしいときにしっぽをふるところがとってもかわいいと思いました。この新聞は、犬についていろいろなことがくわしく書かれているところがいいと思いました。私もこのような内容の新聞を書いてみたいです。(Mさん・小6)
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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