【生徒作品】物語『クリスマスのナゾ』(小3・Yさん)

Yさんの描いた作品の表紙

Yさんの描いた作品の表紙

「【プロジェクト】物語を作ろう!」の作品紹介、第三弾です。小学3年生のYさんは7歳の女の子チェリーが探偵となって大活躍する物語を書いてくれました(プロジェクトのねらいについては「【プロジェクト】物語を作ろう!」をご覧ください)。

本を読むことが大好きなYさん、中でも、探偵物やミステリーが大のお気に入り。
少年たちと泥棒の対決を描いたドイツの児童書『大どろぼうホッツェンプロッツ』を読んだYさんは、大人顔負けの推理力を持った女の子、チェリーが探偵となって大活躍するお話を書いてくれました。

怖いけれど、思わず笑ってしまう物語にしたいと考えたYさんは、登場人物の口調を面白くしたり、チェリーの子どもらしさをアピールする出来事を考えたりと、読んでくれる人の顔を想像しながらとても楽しそうに筆を走らせていました。物語作りははじめてですが、事件が起きてから解決するまでの細かなタイムラインを作り、見事に完成させてくれました。原稿用紙25枚に上る大作です。どうぞ、ご覧ください。

Yさんの書いた原稿用紙

Yさんの書いた原稿用紙

作品紹介

『クリスマスのナゾ』
小3・Yさん

1. どろぼうミルド

 寒く、雪のふっている夜のことです。明日は、クリスマス! スピット家の八人の子どもたちは、サンタさんにプレゼントをちゃんともらえるよう、ぐっすりねむっていました。ところで、スピット家はごうていです。しつじたちももう帰り、大人たちも、全員ねむっている時間です。と、その時!
「ドスッ」
 何か音がしました。そして、炭や灰がたくさん体についている男が、ローズのへやに入ってきたのです。でも、ここは六階です……。どうやって入ってきたのでしょうか? でも、炭・灰まみれ? そうです! この家にはえんとつがあります。そうです! もしかしたら、そこから入ってきたのかもしれません!
 ところで、炭・灰まみれの男のしょう体は、なんと、しつじのミルドだったのです! ミルドは、じょうほう集めのためにしつじをしているので、このごうていでは、ジョナスという名ではたらいています。ははーん。これではバレないのもとうぜん! ミルドも、そうおもったのでしょう……。
 へやに入ったミルドは、真っ先に、ローズが読みかけの、たなにおいてある本を手に取りました。ミルドは、本をぬすめて、とてつもなくごきげんです。ハッ。気をぬいてはいけない。ここには、ねむってはいるが、人はたくさんいるのだった。われに返ったミルドは、えんとつをのぼって、はしごをおりました。だっ出せいこう! と、思ったのですが、ドタドタバタバタという音が聞こえたローズが、おきてしまったのです! おきてみると、大切な読みかけの本が、なくなっているではありませんか! どうしたんだろう、なんでも自分の目で見てみなくては気がすまないローズは、お気に入りのガウンをはおって、外に出てみました。すると、どうでしょう。本を持って走っている人がいるではありませんか! しかも、自分の大切な本です。もう、ノロノロしていられません。しかし、かかとの高いくつをはいていたローズは、なかなか上手に走れません。
「えいっ。」
 なんと、ローズはくつをぬぎすてて走りだしました。走るのがおそいミルドになんか、すぐにおいつきそう……。ところが、ミルドは走ってなんかいなかったのです。なんと、雪だるまを作っていました! かためるために、後ろを向いたミルド。そこには、ローズが! 子どもになんか負けてたまるか! 急いで、ねむくなるスプレーをローズの鼻にかけ、ローズと本を持ち、家に向かってかけだしました。
 家では、女どろぼうロミーが、おいしいシチューとパンを作って、ミルドの帰りを今か今かと待っていました。実は、このロミーが、本をぬすんでほしいと注文したのですから。
「ハァハァハァ。本は、ぬすんできた。でも、その家の子に気づかれちゃってね。スプレーかけて、さらってきた。でも、もうすぐおきるころだから、おしいれにいれておいて。」
 口をあんぐりあけながら、ローズをおしいれにいれたロミーが何かしら考えていると、
「おなかすっいた!」
 と、てきとうで、オンチな歌が聞こえました。ミルドとロミーはごはんを食べ、ミルドのせつめいではよく分からなかった部分を、くわしく教えてもらいました。しかし、おしいれの中のローズはわめいたりさけんだり……。なかなかしずかになりません。これでは、近所の人がおきてしまいます。そこで、歌を歌い、ローズの声をかき消そうと思ったのですが、全くこうかがありません。なやんだすえに、ぬすんだ本をわたしてみると、いきなりしずかになり、集中して読み始めました。やっとまともにごはんを食べられると思ったミルド。しかし、もう、朝の七時になっていました。
 朝七時半。スピット家のみんなは、デートに行く予定だったローズは、もうデートに行ったと思ったらしく、ローズがいなくても、全く気にしていませんでした。と、その時!
「ピーンポーン。入りまっすよー。」
 と、ローズのかれしのブロッサムが、家の中に入ってきました。すると、
「あれ? あれれれれ?」
 ドアの近くにいる人が、全員ふりむきました。
「どーしたの? みなさん。今日は、ローズとデートへ行く日でしたよ」
 と、ブロッサムはのん気に言いました。すると、ローズの妹のメイが、
「ローズお姉ちゃんは、もう、デートに行ったんじゃないの?」
 と、言いました。ブロッサムは、ありえませんよ、とでも言っているようにさけびました。
「ローズー」
 しーいん。なにも聞こえてきません。それでもあきらめず、
「ローズー。ぼく、ブロッサムだよ?」
 しーいん。なにも聞こえてきません。聞こえてくるのは、みんなの息だけ。おろおろしているブロッサムに、
「ケータイに、電話かければ?」
 と、メイが提案しました。そして、電話をしてみますと……。
「ピロロロロ。ピロロロロ。」
 かすかな音が、上の階から聞こえてきます。
「上だ!」
 ブロッサムと、兄弟七人、お父さん、お母さん、しつじたちは、どんどんどんどん上の階へととぶように走ります。そして、やっとたどりついたローズの部屋。ところが、そこにはローズがいません。また、ローズがお気に入りのガウンもなくなっています。それに、ローズが世界一大切にしていた本もなくなっています。
「いない……。も、も、もしや、さらわれたー。」
 しつじ、お母さん、お父さんは、大じしんでもあったかのように大声でさけびました。すると、
「ピーンポーン」
 またベルの音。全員は、いっせいに下に下りました。メイとシャリー(コック長の子ども)の友だちの、チェリーが、サンタさんにもらったチャウチャウ犬の赤ちゃん(生後一ヶ月)の、モアモアをだいて立っていました。チェリーは、まだ七才なのに、日じょう生活ですい理を学び、大人よりもかしこい女の子です。そのことを知っていたシャリーは、げんかんに行き、
「あんねー。実は、ローズお姉さんがー、さらわれちゃって……。」
 そこまで言うと、
「えー。ウソー。マジでー。マジでー。ヤバいじゃん。どーすんのよー。」
 と、チェリーがさけびました。シャリーは、全く気にしていないように、話をつづけました。
「ここからは早口で言うよ! さらわれて、どこにいるのか分かんないから、ローズお姉さんを、救出してほしいのだー。」
 するとチェリーは、
「イェス。もちろんいいよ」
 と、みんながもっとも待っていた言葉を言いました。しかし、チキンが、自分の名前のチェリー(さくらんぼ)より好きなチェリーは、
「でも、クリスマスチキンを二本くれたらすい理してあげてもいいよ。」
 と言いました。そんなチェリーに、
「そんなのおやすいご用さ! でも……ローズ様が見っかってからにしないかい? せい大なパーティーでもしてさぁー。」
 チェリーは、それに大さんせいでした。そして、すい理を始めたのです。

2. みんなによると……。

 チェリーは、まず、今スピット家にいる人全員を、じけんげんば(ローズの部屋)に集めました。すると、またまたみんなはさわぎ始めました。そのさわぎをしずめ、みんなに朝おきてからのことを話してもらいました。チェリーは、まず、長男のケイトに話してもらいました。ケイトは、
「オレは、朝おきたらすぐに、プレゼントを開けたぜ? それから、もらった工作キットで、ロボットのモーターを作っていたんだ。そうしたら、『ごはんよー。』っていわれたから、下に下りたら、なんかドアの音がしたんだよ。その時は、ローズ姉ちゃんがデートに行った時のドアの音かと思って、ふつうにごはん食べてたぜ。そうしたら、ブロッサムが来たから、おどろきももの木さんしょの木! ってね。」
 と、ふざけ半分で言いました。
 次は、双子のアマリリスと、スフィーに聞きました。自分の名前を「アマッチ」と言っているアマリリスは、
「アマッチも、兄さんみたいに、サンタさんにもらった本を読んでたよ。そんで、カチャカチャって音がしたから、アマッチも、ローズ姉さんがデートに行ったのかと思ったよー。でも、ローズ姉さんのわけないし……よく分からん」
 と、答えました。スフィー、リトン、フィンド、ミッド、しつじたちも、同じようなことを言うので、かん係なさそう、と思ったチェリー。しかし、メイは、みんなとちがうことを言ってくれたのです! それは、
「ねぼうして、やることがなかったから、リビングに行ってボーッとしてたら、なぜか、コートかけに、ハンガーが一つあまっていたんだ。考えるのめんどくさいからほっといたけどね。あっ。チェリー。耳かして。実はね、そのコートの中で一番暖かそうなのを、買ってもらえるんだー。みんなには、ヒ・ミ・ツ。」
 と。チェリーは、なんとなく、聞いておいてよかったな。と思いました。なぜかと言うと、みんなの言った、「ドアの音がしたんだけど、ローズ姉ちゃんじゃないよねー。」の、一言と、メイの言った、「コートが一つかかっていなかったけど……。」の、一言が、きょう通しているような気がしたからです! でも、どこがきょう通しているのか……。と、その時!
「チェリー。なんかはんめいした? ちょっと、このナゾが、分かってきたかも!」
 と、メイが言うと同時に、
「……。」
 チェリーが、だまりこんでしまいました。なぜって、チェリーがまだはんめいしていないのに、先にはんめいしてしまうとは、思いもしなかったからです! そこで、チェリーは、
「本当?」
 と、聞いてみました。すると、
「うん! じゃあ、ひろうするね。はんにんは、ローズ姉ちゃんをさらって、そのままどっかに行っちゃったってこと。」
「……。」
 チェリーは、まただまりこんでしまいました。それくらいは、チェリーだって分かっていたからです。だから、まぁーいっか! と思い、ほっとしました。と、その時!
「グー。」
 ワイルドなリトンのおなかが、「おなかがすいたよ!」と、さけびました。
「ははは。」
 と、頭をかきながら、
「そろそろ昼めしにしようぜー。」
 と、提案しました。すると、
「いーよー。」
 みんな、さんせいです! そこで、みんなで昼ごはん(めし)にしました!

3. ミルドの家

 昼ごはんを食べている間も、チェリーは、ずーっと考えつづけました。ずーっと考えつづけていたため、ちょっとかわいそうなことに、ごはんを食べることを、わすれてしまいました! しかし、そんなことなんか気にしていないチェリー。ですが、だんだんおなかがすいてきてしまったのです! そして、
「あー。ちょっとおなかがすいちゃったから、パンくださーい。」
 と、一言ことわって、神だなにおそなえしてあったパンを、一つもらうと、食べながらですが、すい理を始めました。実は、チェリー、この事件のことは、もう、半分すい理していたのです! みんながごはんを食べている時に、考えたのです。しかし、最終かくにんが、まだでした。そこで、
「みなさん、一人ずつ、家に行かせてください。」
 と、呼びかけました。ミルドは、(しまったー。家が分かれば、ローズ様が見つかってしまうーっ)と思い、とてもなやんだすえに、遠いけれど歩いていけるべっそうにあんないすることに決めました。一方、はんにんがミルドだということを、全く知らないチェリーは、
「じゃあ、あなたから、家をあんないして下さい。」
 と、まっ先にミルドを指したのです。しかし、「いやー。ちがう人から先にして下さい。」とでも言ってしまったら、「あなたおかしいですねー。」と、うたがわれてしまいます。そこで、
「はい。いいですよ。」と、引き受け、歩き始めました。しかし、あまりの遠さに、チェリーは、これはなんかおかしい。と、思い始めてしまったのです! ところで、ミルドの住んでいる家は、一キロメートルほどまっすぐ歩くとある、住たく地の、前から二番目の家です。ところが、ミルドのべっそうときたら……。五キロメートルほど歩くとある交差点を、左に曲がり、十一キロメートル。そこにある、巨大な山のとうげに……ぽつんと、ミルドのべっそうがあるのです!
 ところでチェリーは、あまりの遠さに、これはおかしい。と、思い始めてしまいました。一時間がすぎ、二時間、三時間がたちました。しかし、まだ着きません。そして、三時間半……。ようやくミルドのべっそうへ着きました。
「それでは、中をはいけんさせていただきます!」
 と、いつも以上にていねいな口調で言うと、家の中へと入っていきました。べっそうですから、家の中はまだ寒く、クモの巣がたくさんはっていました。
「うう。気持ち悪い……。」
 チェリーは、小声で言ったつもりだったのですが、
「ジョナスさんに聞こえてたら、どうすんねん。」
 と、メイに注意されてしまいました。ところが、
「あっそうだ! あなたの名前は、ジョナスさんだよね」
 と、大声で言ったので、またまたメイにおこられてしまいました。
 みんなは、せっかく歩いてきたのに、つかれすぎて、頭がはたらきません。しかし、チェリーには、大きなナゾが一つありました。それは、「なぜ家が遠いのか」という内ようでした。そこで、ミルドに、
「ねぇ。ジョナスさん。なーんでこんなに家が遠いの?」
 ドクッ! ドクッ! ミルドの心ぞうは、今にもはれつしそうです!!「毎日、がんばって歩いているんですよ!」とも言えないし……。よし。むししよう! と決心し、ずーっとむししていたのですが、
「ジョーナースーさーんー。今、生ーきーてーまーすーか? なんでー家が、こんなに遠いの?」
 はぁー。あきれるあきれる。チェリーの大声で言われたら、答えないわけにはいきません。しゃーないなー。と、思いつつも、
「コホン。毎日馬車で来ているんですよ。ゆれますけどね。」
 と、大大大うそをつき、ごまかしました。チェリーは、おかしいなと思いながらも、
「ふぅん。」
 と、だけ返事をし、ふたたびすい理を始めました。
 寒い中、行きと帰りで七時間ほど歩きつづけたみんなは、もう、とてもクタクタです。もう七時半だし、おなかもすくころです。そこで、夜ごはんにしよう! と、みんなで話し合い、夜ごはんを食べ始めたのですが、
「ゴー。」
 なにか、いびきが聞こえます。すると……、
「あっチェリーがねてるー。しかも口のまわりベタベター。」
 と、シャリーがさけびました。そういうことだったのか……。そうです。まだ、七才になったばかりのチェリーは、ごはんを食べながらねてしまったのです。このごうていから、チェリーの家まで、歩いて一時間、馬車で三十分かかります。一時間も歩かせるわけにもいかないし、馬車で三十分もゆれてもらうわけにもいきません。みんなは、
「どうするどうする? 歩かせるのはやめようよ。」
 などなど言い始め、ザワザワと、うるさくなり始めてしまいました。そこに、メイが、
「紳士しょくん。チェリーをここに泊めてあげようではないか。」
 と、提案をしたら、みんなは、
「さっんせーいわー。メイ会長わーい。」
 と、なぜ、紳士しょくんと、メイ会長なのかはわかりませんが、みんながさんせいしたので、今はあいているへや(ローズのへや)に、泊まってもらうことにしました。
「チチチチチ。」
 小鳥の声です。びっくりし、目をさましたチェリーは、ローズのへやへ向かいました。へやのドアを、おもいっきりあけると、
「なななななんでー。メ、メイ。せつめいしてよー。なんで、ローズ姉さんのへやに泊まっていたのー。」
 と、いきなりメイにとびつきました。その様子を見ていたスフィーが、
「アハハ。へーんなのっ。じゃあ、私が教えてあげる。実はね、チェリー、ごはんを食べながら、ねちゃってたんだよ。で、チェリーの家に電話かけて、ここに泊まってもらったの。これで分かった?」
 と、せつめいしてくれたので、チェリーは、
「へぇ。」
 と、だけ答えて、安心したのか、また、ねむってしまいました。数十分後……、
「チェリー、ごはんの時間。ねーぼーすーけーだー。」
「ふんがっ。」
 おなかがすいていたチェリーは、はね起きて、運動会のリレーの時のように、もうダッシュでリビングに行くと、
「おっはよーございます。おなかすいちゃったー。」
 と、大声でさけびました。すると、
「フフフ。あかわらずの、大きな声ね。フフ。」
 と、ローズのお母さんが、やっと笑ってくれました。悲しくて悲しくて、きのうから、全く笑っていなかったのです! ホッとしたチェリーは、
「よかったよかった」
 と、うなずきました。
 朝ごはんを食べたチェリーは、すい理を始めました。その時です!
「やっぱりはんにんは、コック長ですよねー。だって、いっつもローズ様といっしょじゃないですか!」
 な、なんと、ミルドがコック長のせいだと、言い始めてしまいました! むじつで、たいほされては、たまらない! と、いう気持ちで、コック長だって負けてはいません!
「なんだって? お前だってへんじゃないか。人のせいにばかりして……。そこがお前の悪いところだ! オレはなぁ。はんにんじゃねぇー。むじつのつみで、たいほさせられるのはイヤだ! わかったな! もっと気を付けろ。」
 ミルドも、コック長も、気が強いので、とうとうなぐり合いになってしまいました。こまったチェリーは、もう、ケンカを止めるしかありませんでした。そこで、
「ケ、ケンカはやめて下さい! すい理ができません!」
 と、チェリーが言うと同時に、シャリーが、
「パパ、ジョナスさん。ケンカして、なにが楽しい? アホじゃない? そんな大人、見ならいたくないしー。」
 と、プリプリし始めました。「アホじゃない?」と、言った時は、ビクッとしたチェリーですが、ケンカがおさまったので、
「シャリーサンキュー。助かったよ!」
 と、お礼を言い、すい理を始めようとしたら、ミルドが、
「コック長、ケンカをするつもりではありません。一言言わせてもらいますが、私は、ローズ様と、とっても仲良しですからね。そんなこと、するわけがないでしょう。それに、ローズ様が大好きな本の名も知っていますよー! それは、『みっ室さつ人事件』です。今、かしてもらっているんですよー。ほ、本当ですからね。じゃあ、明日、お見せしますから。」
 その時です! チェリーの頭がピピっと働きました。そして、みんなにローズのへやに集まってもらい、な、なんと、すい理のけっかを発表しました!
「……。はんにんは、きっと、ジョナスさんでしょう。」
「え! なんでわかったの?」
 不思議そうに見ているシャリーに、チェリーは答えます。
「さて、ジョナスさん。あなたは、馬車でここまで来ている。と、言いましたね。しかし、あんなにきたない家に住んでいる人が、馬車なんか、使います? きっと、あの家は、ニセモノでしょう。本当の家は、ちがう所にあるのでしょう。それに、あの家には、『みっ室さつ人事件』は、ありませんでした。きっと、本当の家に、本がおいてあるはずです。では、なぜ本当の家にあんないしなかったのでしょう。それは、本当の家に、ローズ様をかくしているからです。事件の朝、ジョナスさんは、急いでここに来ましたよね。でも、間に合いませんでした……。だ、か、ら、ハンガーに一つコートがかかっていなかったんですよ。そうでしょう。ジョナスさん。いえ、ミルドさん。」
「え? ミルドさん?」
 みんなのしせんがミルドに向きます。
「そうです。みなさんは分からなかったのですか。ざんねんですねー。実は、表札に、『ミルド&ロミー』と、書いてあったんですよ!」
 みんなは、びっくり! すると、ミルドがこう言いました。
「そのとおりです。私は、本当は、ローズ様をさらおう! だなんて、思いもしませんでした。しかし、本をぬすんだ時、ローズ様に見つかってしまったのです。私は、コワクなり、とうとうさらってしまったのです。本当に申しわけありませんでした。すみません。すみません!」
 深々と頭を下げたミルド。しかし、罪を犯したミルドは、三年間ろうやへ……。
 ところで、ローズは救出され、コック長の言ったパーティが開かれました! すると、
「ふくろの中のくらしも、あん外楽しいよー。この本も読めたしー。」
 ズコー。な、なんのために助けてあげたのよー。みんなは、大笑い。その後、ローズとブロッサムは、デートに行き、チェリーは、国みんえいよ賞を、もらいました!

(おわり)

あとがき

 Yでーす!『クリスマスのナゾ』は、いかがでしたか? この本を作るときに一番大変だったのが、「せい書」です。一字一字、きれいに書くのって、大変なんですよ!
 ところで、みなさんも、物語を作ってみてはいかがですか?自分の考えを、ドーンと書いてもよし、好きな本を参考にしてもよし、とっても楽しく、おもしろいですよ!
 こんど本を書く時は、もっとコワイ本を書きたいです。次回も、お楽しみに!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Yさんは、書けば書くほどアイディアが湧いてくると、清書に入ってからもさらに出来事を加え、家でも執筆の続きや表紙作りに取り組んでくれました。

心から物語作りを楽しみ、自分で計画を立てながら最後まで書き上げることができたYさん、次回作が楽しみです。

子どもたちのコメント

教室では、読み書きを通した交流も重視しております。
また、子どもたちは作品を装丁して他の友だちにも読んでもらい、コメントをし合います。

  • この本、面白かったよ。Yさんが本当にいいそうな言葉をチェリーがつかっていたからね。(小3 Iさん)
  • 25枚も書くなんてすごいね。チェリーは7才なのに、すごい推理力がありますね。ご飯をたべながら寝てしまうというところが7才らしいです。表札に、『ミルド&ロミー』をと書いてあったことに、みんなは気づかないのにチェリーだけが気づけたかんさつ力がすごい!! 最後はぶじに家にローズが帰ってきてよかったです。(小4 Rさん)

ページ下部にFacebookのコメント機能がついていますので、物語の感想をお寄せいただければ幸いです。
子どもたちの励みになります。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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