【生徒作品】『音符三姉妹の学校探検』(小6・Cさん)

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小6のCさんは、弟思いのやさしいお姉さん。動物が登場する物語や、富安陽子さんの『ムジナ探偵局シリーズ』が好きで、クマの姉妹がお母さんの誕生日に料理を作る話や、探偵のねこたちが事件を解決する話など、たくさんの物語を書いてきました。今回は、三題噺といって、ランダムに選んだ三つの言葉を元に物語を考えるという手法で、物語を書きました。小さな弟や妹に聞かせたくなる、楽しい物語です。

作品紹介

『音符三姉妹の学校探検』
Cさん・小6

音楽室の表示板には、音符の家族がすんでいます。お父さんは四分音符、お母さんは十六分音符、長女のリンと、次女のナナと、三女のミカは八分音符です。

小学生や先生が帰った夜、何やら三姉妹が楽しく話しています。

「ねえ、リン姉ちゃん。」
「何、ミカ。」
「ミカ、学校探検したい。」
「わかった、じゃあ、お母さんにきいて見るね。」
「お母さん、学校探検に行っていい?」
「いいわよ。行ってらっしゃい。」
「ミカ、ナナ、どこ行きたい。」
「ミカは、理科室。」
「ナナは、家庭科室。」
「じゃあ、そこに行こうか。」
「最初は、理科室から。」

音符三姉妹は、三階にある音楽室をはなれ、二階にある理科室に向かいました。すると、にぎやかな声が聞こえてきます。地球や火星など、さまざまな星がポスターから出てきてしゃべっています。

中に入ると、火星がやってきて、
「何してるの?」
と聞きました。すると、色々な星たちも来て、人体模けいやがいこつまで動きだしてこちらに来ました。どうやら、火星が理科室のリーダーのようです。

リンが答えました。
「学校探検してるの。」
「ぼくたちも行きたい。いっしょに行っていい?」
「いいよ。」
「次はどこ行くの?」
「家庭科室だよ。」
「そっか、出発しよう。いくよ、みんな。」
「おー。」

そして、理科室のみんなと学校探検をすることになりました。家庭科室に向かっている途中、火星が音符三姉妹に聞きました。

「君たちの名前は?」
「私はリン。」
「私は、ナナ。」
「私は、ミカだよ。」
「そうなんだ。ぼくの名前は、ファイヤーというんだ。」
「そっか。よろしくね。」

そんなことを話していると、家庭科室につきました。家庭科室も何やらにぎやかです。音符三姉妹と理科室のみんなが中をのぞくと、食器、ミシン、冷蔵庫からとびだしてきた野菜たちがおどっています。

しかし、教室のすみのダンボールの中に、うらやましそうにそれを見ているじゃがいもたちがいました。音符たちといっしょ、三人兄弟のようです。

リンは、三人兄弟に話しかけてみようと中へ入りました。しかし、じゃがいもの三兄弟に話しかけても返事をしてくれません。なぜだろうと思ったリンは、ほかの野菜に聞いてみました。すると、あのじゃがいも三兄弟は、まだ、家庭科室に来たばかりで、なれていなくてはずかしがっているということでした。

そこでリンは、じゃがいも三兄弟を学校探検にさそうことにしました。

「みんなといっしょに学校探検に行かない?」
「いっしょに行っていいの。」
「いいよ。」

その後、リンがふりかえると家庭科室のみんないっしょにおどっています。リンがみんなに
「学校探検に行くよー。」
と声をかけました。すると、家庭科室のみんなも、行きたーいといっています。リンが
「じゃあ、みんなで出発しよー。」
といって、家庭科室を出ました。

リンは、みんなにどこに行きたいかアンケートをとりました。すると、色々な希望が出ました。行きたい人が一番多い場所は、校庭。二番目は、体育館。三番目は、図工室。四番目は図書室という結果をみんなに伝えました。

リンは、みんなに提案しました。
「四番目の図書室から行こう。」
「おー。」

図書室についたみんなは、中に入りました。いままでの教室とはちがって、しーんとしています。どうしてだろうと奥へはいるとみんなでにらめっこをしていました。少したつと一冊の本が笑いました。すると、また一冊が笑い、ついにみんなが笑いました。その後、リンは 図書室のみんなにいいました。

「私たちもにらめっこに入れて。」
「いいよ。」

それから、みんなでにらめっこをはじめました。
「にらめっこしましょ。笑うと負けよ。あっぷっぷ。」

ミカの顔を見ると、おかしくてリンはわらってしまいました。みんなもミカのほうを見ました。すると、みんなもふきだしてしまいました。ミカのほっぺには、赤いうずまきがかいてあり、へらへらとよっぱらったおじさんみたいでした。みんながひと息ついた後、リンは、図書室のみんなに言いました。

「私たちといっしょに行かない? 学校探検。」
「うん、行きたーい。」

こうして、図書室のみんなもいっしょに学校探検に行くことになりました。次は、図工室に行きます。図工室の前に来ました。すると、筆たちが大きな紙に絵をかいていたり、のこぎりたちが木をきったりしていました。どんな絵をかいているのか、近くで見ようと図工室の中へ入りました。すると、楽しそうに遊んでいる図工室のみんながかいてありました。リンが一本の筆に話しかけてみました。

「楽しそうな絵だね。」
「うん。前に体育館で遊んだ時の絵だよ。今度は校庭に行きたいんだ。」
「そっかー。」

リンは、筆を校庭に連れて行ってあげたいと思いました。リンはいい考えがひらめきました。筆もいっしょに学校探検に行けばいいのです。リンは筆に言いました。

「私たちといっしょに学校探検しよう。この後、体育館に行って、その後、校庭に行くから。」
「うん、行く。みんなもさそっていい?」
「もちろん。」

その後、図工室のみんなもいっしょに体育館へ行きました。体育館では、試合が行われているようです。赤いコーンたちがバスケットボールの試合をしています。そこには、マットやバレーボールがいて、バスケットボールの試合を観戦しています。音符三姉妹とほかの教室のみんなで体育館に入り、試合を観戦していると、赤いコーンが一つみんなのところに来て、
「いっしょに試合やらない?」
と聞きました。みんなが答えました。
「うん、やる。」

バスケットボールの試合の後、リンは体育館のみんなをさそいました。

「学校探検に行かない? でも行くのは、あと、校庭だけだけど。」
「うん、行きたい。」

それで、みんなで校庭に行きました。リンは、音楽室のみんなもよんでこようと思いました。みんなに待っていてもらい、リンは音符三姉妹の両親や楽器たちを連れてもどりました。すると、サッカーボールや、小さいゴール、バトンにハードルなど校庭のみんなも集まっていました。それから、みんなの意見を聞き、パーティーをすることに決まりました。パーティーを盛り上げるために音楽をかけてというので、近所迷わくにはなるかもしれないけれど、今日は特別、とリンは思いながら、放送室に音楽をかけに行きました。すると、マイクたちが聞いてきました。

「外からざわざわ聞こえるけど、何やってるの?」
「パーティーだよ。」
「そうなんだ。ぼくたちも入れて。歌わせてあげるからさ。」
「うん、いいよ。」

リンは、音楽をかけた後、マイク二つを連れて校庭へ行きました。楽器たちは演奏をして、それに合わせてボールたちが、はねておどっています。ファイヤーと地球がマイクを持って歌い始めました。リンもみんなといっしょに歌ったりおどったりしました。その後、みんなは、つかれて校庭でねてしまいました。

次の朝、学校の先生たちは、昨日学校から音楽や声が聞こえて、うるさかったと近所の人から苦情が来たり、校庭にある物を片づけたりと大変です。先生たちは、どろぼうが入ったのかとも考えましたが、どろぼうは音楽をかけたり、マイクでしゃべったりしないし、物を校庭に置いていくはずがありません。

念のため警察にきてもらいましたが、ぬすまれたものやこわれたものは、ありませんでした。生徒たちの間では、学校の七不思議だとうわさが広がりました。昨日、校庭でパーティーをした物たちは、それぞれの場所で、「やっちゃったね。」と話しています。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 生徒作品

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