【ワークショップの様子】いろいろへんないろのはじまり!

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リテラ言語技術教育では毎週さまざまな作文をワークショップを開催しています。 実体験を通した理解、楽しさが学習を牽引する「内発的動機づけ」、「思考と文章技術の目的」を持ったワークショップは、リテラならではの取り組みです。

今回のコラムでは、先日行われた『いろいろへんないろのはじまり!』のワークショップの様子を ご紹介いたします。

読書と実体験をつなげる

まずは作文の前に読み聞かせです。 アーノルド・ローベルの『いろいろへんないろのはじまり』(冨山房)の読み聞かせからはじまります。

この作品は、色の三原色(作中では、青色・赤色・黄色となっていますが、正確には青色はシアン、赤色はマゼンダです)について自然と学ぶことのできてしまう優れた絵本です。


この絵本のあらすじ

昔々、まだ世界に色というものがなかった頃に、一人の魔法使いが青色を作り出すところからこの物語は始まります。ところが青色一色の世界では、人々がゆううつな気持ちになってしまうので、魔法使いは、また別の色を作り出します。それが、黄色と赤色です。しかし、黄色だけでは、人々の目がチカチカして痛くなってしまいますし、赤色だけでは怒りっぽくなってしまいます。そこで、魔法使いは三色の色混ぜあわせて新しい色を作ることを思いつきます……。

青・赤・黄の三色の絵の具を使ってオレンジ色を作る

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こうした色の基本について物語を通して楽しく学んだ後に、子どもたちは絵筆を使った作業に移ります。

この日は、青・赤・黄の三色の絵の具を使って、ハロウィン用の「パンプキンのオレンジ色」を作ることにしました。

みなさんなら、右の写真のパンプキンのようなオレンジ色を作るとしたら、赤色と黄色の絵の具をどれくらいの割合で混ぜるとできると思いますか?

実際に絵の具を混ぜながら色を作ってみると、新鮮な発見があるものです。

たとえば、赤色と黄色を耳かき一杯ずつすくって混ぜてみると、このコラムのトップの写真のような色になります。一対一の割合では、オレンジ色というよりも朱色、あるいはほとんど赤色といってよいかもしれません。

こうして、赤い絵の具というのは、とても色の主張が強いということがわかります。 ですから、二回目では、もっと黄色の絵の具の割合を多くしてみるという発想が生まれてくるのです。 では、どれくらいでしょうか?

ご家庭でも簡単にできますので、試してみて下さい。 右の写真のようにパンプキンの実物を用意すると、そこに作った絵の具を塗って色を比較することができます。 こうした取り組みは、言葉でだけでは分からない色彩感覚を身につけるためにも有効です。むしろ、こうした生の体験が色に対する理解を深め、翻って言葉の世界をより豊かにするのです。

ワークショップの目的

さてこの取り組みの目的は、予想と結果、修正という一連の思考を繰り返し行うことです。こうした取り組みを通して、子どもたちは自然と物事の「目的」や「意図」を理解し、それに沿った思考をすることを学んでいきます。 また、具体的な文章技術として、接続詞、特に「順接」と「逆接」の理解とそれを使う練習にもなります。

  • 「耳かきで赤色と黄色の絵の具を一杯ずつ混ぜました。」

このような一文を書いた後、結果によって、接続詞は次のように使いわけます。

  • 予想通り、パンプキンのオレンジ色に近づいていたら「すると
  • 予想と違い、パンプキンのオレンジ色から遠ざかってしまったら「しかし、ところが

予想した色と違う色になってしまったら、その原因を考え、次の実験でよりよい結界に近づくためにはどうしたらいいか(修正方法)を考えます。

この時、「なぜなら」「その理由は」といった理由の接続詞や、、次回の予想を立てる際に「そこで」や「だから」といった順接の接続詞を使います。

このように、作文ワークショップには、ただ「体験をして楽しい」というだけではない、そのワークショップごとの「思考のテーマ」や「文章技術のテーマ」があります。

もちろん、こうした「思考」や「文章技術」に関する取り組みは、一度学習すれば身につくというものではなく、繰り返し、様々なアプローチによる学習の機会が必要です。

しかし、ご家庭や学校が工夫して取り組む多様な学習と連動して、特別な場所で体験を交えながら学んだ内容が新鮮な驚きや喜びと共に、生徒さんの中で定着するきっかけとなることを望んでいます。

この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: 授業報告

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