テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ

読書感想文のコツは、文章のテーマをはっきりさせること。今回は、読書感想文のコツについて、紹介します。物語の流れがしっかり確認できているようであれば、読書感想文をさらに意義深い取り組みにするためにも、ぜひ参考にしてください。

「あらすじ作文」から「感想文」へ

夏期講習を受講中のN君が、読書感想文を書いたので、アドバイスをしてほしいと相談してくれました。

原稿用紙三枚、しっかりと埋まっていて、一所懸命書いたことがうかがわれます。本の紹介から始まり、物語の冒頭も上手に書けています。しかし、読み進めると、原稿用紙三枚目の後半まで、あらすじが書いてありました。きっと、本を開いて、振り返りながら内容をまとめているうちに長くなってしまったのでしょう。いわゆる「あらすじ作文」です。N君の許可を得て、その一部を紹介します。

※これ以降、『二分間の冒険』(岡田淳)の内容に関わる記述があります。まだ作品をお読みでない方は、その旨ご理解の上、読み進めてください。

「二分間の冒険」
N君・小6

ぼくが、最近読んだ本の中で、楽しかった本は、「二分間の冒険」という本です。この本は、岡田淳さんが書いた本です。

この物語の主人公は、悟。学校で、「ダレカ」という名前の黒ネコと出会います。ダレカにささっているという、「見えないとげ」をぬいたことにより、お礼として、時間を止めて、他の世界へ行かせてくれました。

悟が、本当の世界ではない場所にワープしてから、すぐにダレカの声がしました。

「このぼくを見つけたら、『つかまえた』ととさけんでだきしめる。そうしたらもとの時間にもどしてやるよ。」と言い終わると、声は聞こえなくなってしまいました。

しばらく歩くと、炎が見えた。たき火をしているようだ。近くに行くと、人も見える。話しかけてみると、どうやら竜と戦う人を選んでいたらしい。

(中略)

ぼくは、この本を読んで思ったことは、仲間の大切さです。悟は、かおりがいてくれたおかげで、竜をたおすことができて、もとの世界に帰れたからです。ぼくは、この本を読んで、仲間の大切さを知りました。

第一段落に、一番言いたいことを書こう

こうしてみると、「感想」は、最後の段落にぎゅっとつめ込まれていることがわかります。仲間の大切さ。とても良いです。物語について、きちんと自分なりにテーマを導き出すことができています。

ですから、「一番伝えたいことを最初に持ってくること」が講師からの第一のアドバイスでした。

仲間の大切さ。それが、『二分間の冒険』という物語を読んで僕の感じたことです。

この物語の主人公は、悟。学校で、「ダレカ」という名前の黒ネコと出会います。ダレカにささっているという、「見えないとげ」をぬいたことにより、お礼として、時間を止めて、他の世界へ行くことになります。ところが、ダレカはどこかにかくれて、どんな姿になったのかもわからなくなってしまいます。だから、悟は、ダレカを探す冒険に出ました。

あらすじは、二百字以内にまとめましょう。登場人物・舞台など物語の設定と、主人公の目的や主な出来事が大まかに書ければOKです。

テーマについて考えよう

N君がこの作品から読み取ったテーマは、「仲間の大切さ」でした。このテーマそのものについて、より広く、より深く考えたいものです。そこで、次のような質問をしました。

  • この本のどんな場面から、「仲間の大切さ」が伝わってくるだろう? また、なぜ登場人物たちは、仲間と協力することができるようになったのだろう。
  • 仲間と協力することは、どうして大切なのだろう。
  • あなたが仲間と協力した経験を思い出してみよう。
  • 仲間と協力することの難しさはどんなところにあるだろう。

このように本から読み取ったテーマについて、「なぜ?」「どのように?」と質問したり、自分の経験と照らし合わせたりしながら考えることによって、感想文のアイデアはより豊かに広がっていきます。決して、いきなり書き始めてはいけません。書く前の準備をどれだけするかが大切なのです。こうして、A君は、「仲間と協力すること」をテーマに二つの文章を書くことができました。

協力することは大切です。なぜなら、一人ではできないことも、みんなで協力するとできるようになることもあるからです。悟は、一人ではできない竜の出した謎を、みんなで考え、ヒントを出しあうことによって、解くことができました。その結果、竜のかたいうろこが落ち、悟たちは、「力の戦い」で竜をたおすことができました。

ぼくにも、仲間がいたからできたことがあります。それは、学校の体育の授業で行った、倒立です。僕は、倒立が苦手でした。倒立の難しいところは、手で身体を支えて、バランスをとるところです。それでも、友達ががんばって、支え方を工夫してくれたおかげで、倒立ができるようになりました。

協力することは、大切なのに、なぜそれができないのでしょうか。その原因は、人はだれでも自分のことを特別だと思う気持ちがあるからです。自分のことを特別だと思いすぎると、友達とけんかになってしまいます。自分がえらいと思うと、上から目線になり、強い口調になってしまいます。だから、友達は怒ってしまい、協力することができなくなってしまいます。

しかし、自分のことを特別だと思う気持ちには、良い面もあります。それは、自分に自信を持ち、もっとがんばろうと思えることです。たとえば、テストで百点をとったとき、自信を持ち、これからもがんばろうと思うことができます。

物語を通して「だれかと協力すること」というより根本的なテーマについて考えることができました。特に、N君のすばらしいところは、「自分のこと特別に思うことには、良い面と悪い面とがある」と考えたことです。これにより、異なる視点から考える段落ができて、N君の考察に深みが増しました。

あとは、これらを構成し、しめくくりの段落を加えることで、作品が仕上がります。

仲間と協力する大切さ
N君・小6

仲間の大切さ、それが、『二分間の冒険』という物語を読んで僕の感じたことです。

この物語の主人公は、悟。学校で、「ダレカ」という名前の黒ネコと出会います。ダレカにささっているという、「見えないとげ」をぬいたことにより、お礼として、時間を留めて、他の世界へ行くことになります。ところが、ダレカはどこかにかくれて、どんな姿になったのかもわからなくなってしまいます。だから、悟は、ダレカを探す冒険に出ました。

この本を読んで、印象に残ったところは、みんなが協力して、竜をたおすところです。悟は、竜の館にダレカがいると考えて、竜をたおすといわれている剣を持ち、竜の館へと向かいました。しかし、そこには悟のクラスの友達がいました。みんな自分こそ選ばれた勇者だと考え、他の人と一言も話しません。そのせいで、友達は次々に、竜にやられてしまいました。

しかし、その中の一人が、勇者の剣はうそだということに気づきます。実は、この剣は、竜の館へ行く人に、自分は選ばれた人だと思わせ、協力させないようにする中の作戦だったのです。それに気づいた悟たちは、みんなで協力するようになり、竜をたおすことができました。

協力することは大切です。なぜなら、一人ではできないことも、みんなで協力するとできるようになることもあるからです。悟は、一人ではできない竜の出した謎を、みんなで考え、ヒントを出しあうことによって、解くことができました。その結果、竜のかたいうろこが落ち、悟たちは、「力の戦い」で竜をたおすことができました。

ぼくにも、仲間がいたからできたことがあります。それは、学校の体育の授業で行った、倒立です。僕は、倒立が苦手でした。倒立の難しいところは、手で身体を支えて、バランスをとるところです。それでも、友達ががんばって、支え方を工夫してくれたおかげで、倒立ができるようになりました。

協力することは、大切なのに、なぜそれができないのでしょうか。その原因は、人はだれでも自分のことを特別だと思う気持ちがあるからです。自分のことを特別だと思いすぎると、友達とけんかになってしまいます。自分がえらいと思うと、上から目線になり、強い口調になってしまいます。だから、友達は怒ってしまい、協力することができなくなってしまいます。

しかし、自分のことを特別だと思う気持ちには、良い面もあります。それは、自分に自信を持ち、もっとがんばろうと思えることです。たとえば、テストで百点をとったとき、自信を持ち、これからもがんばろうと思うことができます。

このように、ぼくは、これから、自分に自信を持つことを大切にしながら、仲間のことも大切にしていきたいと思います。

※作品の転載を禁止します。

リテラでは、こうした「テーマについて考えること」を、高学年における重要な思考の課題であると考えています。単に出来事の面白さを楽しむだけではなく、そうした出来事から伝わってくる主人公の変化や、物語に込められた思いを受け止める。そして、その内容について、自分の頭で、あるいは心で、考えるのです。すると、「全体と部分」や「作品の主題」といったより抽象度の高い思考の段階へ、子どもたちは歩みを進めることになります。

抽象的な思考がもたらすもの

抽象度の高い思考ができるということは、やがて目標・目的や意図、意義について考えることにつながっていきます。たとえば、「どのようにするのか」を考える前に、「なぜ、なんのために、それをするのか」を考えることは、私たちが意思決定をするにあたって非常に重要な視点です。また、こうしたテーマに対する自分の体験の記述は、公立中高一貫校の400字作文でも求められる内容でもあります。ぜひ、こうした視点を持って、読書感想文の取り組みを意義深いものとしてほしい、と私たちは願っています。

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カテゴリー: 読書感想文

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