【2016年読書感想文特集】『みずたまのたび』アンヌ・クロザ(低学年向け課題図書)

みずたまのたび

内容の紹介

小さなみずたまが、おひさまのおかげで、そらにまいあがり、たびにでかけます。
雲になり、雪になり、花びらの上でしずくとなり、土の中へ。やがて川から、海のそこふかくへ。
かたちをかえて、地球をめぐる、みずたまのぼうけんの物語が、美しいイラストとともに描かれます。

読む前の下ごしらえ

考えてほしいこと

読む前に、次のことを考えてみましょう。

  • 大人といっしょに、お湯をわかしてみましょう。たちのぼった湯気は、どこへいくのでしょう。考えてみましょう。

読む

1~2年生、また、本によっては3年生も、読み聞かせをしましょう。ゆっくり、一緒に楽しんでください。読みながら、また、読み終わった後、内容について話し合い、出てきたことばを付せんに書いていきましょう。

準備する

気持ち

本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。

体験

読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。

考えるヒント

みずは、さまざまな場所を、さまざまなすがたで、たびをしています。

  • みずは、どうすると、すがたをかえるのか、せいりしてみましょう。
    • みずたまが、ちいさなつぶになって、空にまいあがるとき
    • ちいさなつぶから、みずたまになるとき
    • 雪のけっしょうになるとき
    • 雪からみずたまになるとき
  • あなたのみのまわりでは、みずたまは、どんなところを、どんなすがたで、どんな気持ちでたびをしているでしょうか。思いつくだけ、考えてみましょう。

例:

どんなところ どんなすがた どんな気持ち
水道の中 きれいなつめたい水 くらい水道かんの中でドキドキしている
おなべの中 野菜スープになって、ぐつぐつとにこまれている はやくここから出してほしい!
  • あなたも、自分なりのみずたまのたびを考えてみましょう。

合わせて話し合いたい

読書感想文のテーマにするには少し難しいかもしれませんが、次のことについてもぜひ話し合ってみてください。

わたしたちの住む地球は水の惑星(わくせい)と言われています。宇宙から見ると、水がたくさんあることがわかります。地球上では、水がさまざまに形を変えながら循環しています。
Wikipedia

Wikipedia

しかし、地球の水を一か所に集めると、実はおどろくほど少ない量であることがわかります。
Credit: Howard Perlman, USGS; globe illustration by Jack Cook, Woods Hole Oceanographic Institution (©); Adam Nieman.

Credit: Howard Perlman, USGS; globe illustration by Jack Cook, Woods Hole Oceanographic Institution (©); Adam Nieman.

一番大きな水のかたまりが、地球にあるすべての水、二番目に大きな水のかたまりが、地下・湖・沼・川にある液体の水、その下の(見えるでしょうか)小さな水のかたまりが、湖や川の水です。私たちは、主に一番小さな水のかたまりを利用して生きていることになります。
近年、人口増加や工業化などにより、世界各地で水が不足しています(報道例:「世界の水不足は、予想されていた以上に深刻だった」The Huffington Post より)。また、2000年の統計によると、世界人口の約2割に相当する11億人が安全な飲み水が利用できていません(世界保健機構(WHO)と国連児童基金(UNICEF)による)。貴重な水をどのように保ち、分かち合うのかは、これからの世界の課題でもあります。
日本では、水道から安全な水がいつでも手に入りますが、断水時や震災が起こった時、そのありがたみを改めて感じます。水を大切に考えているか、出しっぱなしにしていないかなど、普段の生活の中での水との関わり方を、一緒に考えてみてもよいでしょう。

保護者の方へ

上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。

読書感想文を通して考えてほしいテーマ

  • ものを大切にする心
  • 暮らし
  • 自然

この本について

低学年の子どもたちに、自然へのまなざしを育む絵本です。
水の循環がテーマですが、理科の「学習」として読むよりも、みずたまになりきって、さまざまに姿を変え、さまざまな場所で、さまざまな生き物に出会う、冒険を楽しみましょう。
身の回りの水を観察して、水がどんな時に姿を変えるかがわかると、自分なりに「みずたまのぼうけん」を考えることもできます。何かに心を寄り添わせ、その視点から想像することは、そのものを大切にすることにつながります。

合わせて読みたい


『みずたまのたび』と同じように、バケツから飛び出した水が、空へ、山へ、町へ、ダイナミックに旅をします。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: ブックレビュー

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