【2016年読書感想文特集】『ひみつのきもちぎんこう』ふじもとみさと(低学年向け課題図書)

ひみつのきもちぎんこう

内容の紹介

ある日、ゆうたに、ふしぎな手紙がとどきます。
かかれていた場所に行ってみると、そこにあったのは、「きもちぎんこう」。ゆうたの通帳は、本当の気持ちとちがうことをしてしまった時に入ってくる「うそきもち」の黒いコインでいっぱいでした。
銀行の番頭さんは、このまま黒いコインがいっぱいになったら、いい心が消えてしまうと言います。

読む前の下ごしらえ

考えてほしいこと

読む前に、次のことを考えてみましょう。

  • あなたは、最近、いじわるしたり、されたりしましたか? そのときの気持ちを、思い出してみましょう。
  • あなたは、最近、誰かに優しくしたり、されたりしましたか? そのときの気持ちを、思い出してみましょう。

読む

1~2年生、また、本によっては3年生も、読み聞かせをしましょう。ゆっくり、一緒に楽しんでください。読みながら、また、読み終わった後、内容について話し合い、出てきたことばを付せんに書いていきましょう。

準備する

気持ち

本を読んで感じた気持ちをことばにするのは、なかなか難しいものです。読み終わったら、次の「気持ちについて考えよう」シートを印刷して、感じた気持ちに丸をつけてみましょう。対話のヒントになります。

体験

読書感想文では、本の内容と自分の体験を結びつけることが大切です。自分の体験が思いつかない場合は、このページの「考えるヒント」を参考にして、本のテーマについて誰かに聞いたり、調べたり、新しく何かをしてみたりするとよいでしょう。

考えるヒント

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  • あなたのきもちの通帳があったら、中はどうなっていると思いますか?
    • どのきもちが多いと思いますか?
    • どのきもちが少ないと思いますか?
  • 自分のきもちについて、振り返ってみましょう。
    • 「きもちについて考えよう2(リテラ)」を印刷してください。
    • きもちの横に、最近、どんなときにそのきもちになったか、メモしてみましょう(全部のきもちについて書く必要はありません)。
    • たまったよい気持ちは、どうしたらほかの人にわけてあげられるでしょうか。
    • わるい気持ちがたまるのを、どうしたらふせぐことができるでしょうか。

保護者の方へ

上記の「考えるヒント」を参考に、対話をしながらアイデアを拡げてください。アイデアのメモをたくさん作り、並べ替えながら、感想文の構成を練りましょう。

読書感想文を通して考えてほしいテーマ

  • 優しさ
  • 人とのつながり
  • 勇気
  • 成長
  • こころ

この本について

子どもたちは、成長するにつれ、自分の中に、様々な自分がいることに気がつきます。
楽しみたい自分、サボりたい自分、優しくしたい自分、いらいらしている自分……。頭ではわかっているけれど、心はなかなか思うようになりません。
本当の自分の気持ちと違う「うそきもち」に従ってしまった時、物語に出てくる「きもちぎんこう」の通帳のように、私達の心にも、黒い「うそきもち」コインが溜まっていきます。
自分を変えるには、勇気が必要。その一歩が積み重なって、新しい自分をつくっていきます。

子どもたちにとって、自分自身を考える対象にするのは、なかなか難しいものです。ましてや、目に見えず、常に変化していく気持ちであればなおさらです。このページで紹介した気持ちの表の中にも、まだよくわからない「気持ち」があるかもしれません。
しかし、ことばでくくることで、それについて考えることができるようになります。今回の読書感想文では、ぜひサポートと対話をしてあげつつ、「気持ち」について考えてみてください。

合わせて読みたい


ぼうしやですてきな想像のぼうしをもらったミリー。街行く人たちの頭の上にも、すてきなぼうしが見えてきます。想像することの素晴らしさが伝わってくる本です。

構成について

構成にルールはありませんが、どう書いたらいいかわからない時は、次のことを参考にしてください。

「誰に、何を伝えたいか」

  • ことばは、他者に思いを伝えるためのものです。考えたことやメモを元に、書き始める前に、「誰に、何を伝えたいか」を考えましょう。「伝えたいこと」は、できるだけ一つにしぼりましょう。
    • 誰に……例)家族、友人、先生
    • 何を伝えたいか……例)本の面白さ、感動したところ、自分の想い
  • 「伝えたいこと」をしぼることで、構成を立てやすくなります。

文章の構成

  • 文章は、三つのパートに分かれることが多いようです(※三段落で書かなければならないという意味ではありません)。
  • 【はじめ】
    • この文章で「伝えたいこと」や、あらすじを、簡単に書きます。なお、あらすじの有無を学校から指定されることもあります。
  • 【なか】
    • 本に貼った付せんや、考えたこと、メモを元に、「伝えたいこと」をより詳しく書いていきます。
    • 物語の内容と自分の体験を交えると、「伝えたいこと」の説得力が増し、生き生きとした作品に仕上がります。
      • 物語で印象に残った場面や人物について書きましょう。また、それに対しどう感じたかを書きましょう。
      • 関連する自分の体験を書きましょう。「いつ、どこで、誰が、どうした」から書き始めるとよいでしょう。
      • 体験は、過去の思い出だけでなく、本を読んだ後に人に聞いたことや、調べたことでもよいでしょう。
      • 体験の最後には、その体験を通して学んだこと・感じたことを、物語の内容と絡めながら書きましょう。
    • 学んだことを実行するのはなぜ難しいのか、そのためにはどうすればよいのかといった、より現実に根ざした内容の段落を追加すると、深みが増します。
  • 【おわり】
    • 「伝えたいこと」をもう一度強調し、未来につながる決意や前向きなことばで締めます。
読書感想文の書き方・文例について、より詳しくは「テーマを考えてから書こう! ~読書感想文のコツ」をご覧ください。
この記事を書いた人: リテラ「考える」国語の教室

東京北千住の小さな作文教室です。「すべて子どもたちが、それぞれの人生の物語を生きていく力を身につけてほしい」と願いながら、「読む・書く・考える・対話する」力を育む独自の授業を、一人ひとりに合わせてデザインしています。

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カテゴリー: ブックレビュー

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